… … …(記事全文3,832文字)たまには歴史モノを。
「いろはにほへと」とは、当時の仮名47文字を重複させず作られた七五調の詩だ。いろは歌の凄さは、当時の全仮名47文字を重複なく使い切っただけでなく、高度な仏教哲学を七五調の美しい詩として成立させた点にある。
制約だらけのパズルを解きながら、深い意味を持つ文学へと昇華させた、言語史上の奇跡といえる。
このように、ある言語のすべての文字を使った文章というのは各国にある。
英語にもドイツ語にもフランス語にもある。
このような文章を英語で「パングラム」と呼ぶ。
しかし、海外のパングラムは、文字を網羅するために「意味が少し不自然」だったり、「文字が重複」したりする。
一方で「いろは歌」は
・一字の重複もない(完全パングラム)
・七五調の完璧なリズム
・深い宗教的・哲学的意味を持つ
という特徴を持ち、この3つを同時に満たしている例は、世界に例はなく、極めて稀で、まさに「言語の芸術品」といえるものだ。
いろは歌を現代語訳すると、下記のようになる。【いろは歌現代語訳】
花の色は美しく香りもいいが、(いずれは)散ってしまうもの。
この世で生きる私たちの中で、誰が永遠に変わらずにいられるだろうか。
因果が渦巻く迷いの深い山を、今日こそ乗り越えて
はかない夢のような一生に惑わされたり、現世の快楽に酔いしれたりすることもしない、悟りの境地に達しよう。
お見事だ。
この歌は、仏教の根本思想「諸行無常」をベースに、煩悩を滅ぼし、悟りの安らぎを目指す教えに通じる。英語には母音(a, e, i, o, u)が5つしかなく、これらを節約してやりくりしなければならないという制約がある。そのため「完全パングラム」の作成は極めて困難だという理屈も一理ある。しかし、1960年代には一文字も重複しない完全パングラムが誕生している。
一番有名なものは、
"Mr. Jock, TV quiz PhD, bags few lynx."
「ジョック氏、TVクイズの博士号持ち、数匹のヤマネコを袋に入れる」
だ。
意味は、なんとか通じるものの芸術性には欠けるが、一応は「完全パングラム」として成立している。 これが何を意味するか?
ここより、日本の特異性と、「いろは歌」の特異性を語る。
そして「いろは歌」の作者を探る。
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