… … …(記事全文7,248文字)現時点の感染率は0.001%
ニューヨーク州のホークル知事が2026年10月5日、麻疹(はしか)の感染者増加を受けて、緊急事態を宣言する行政命令を出した。感染者の大半は7月半ば以降に確認されており、10月3日時点でニューヨーク州では計108人の感染が確認された。うち7人がニューヨーク市の住人だという。また、CDC(米疾病予防管理センター)によると、10月2日時点で3887人の感染が確認されており、過去30年間で最多となっている。
*TBS CROSS DIG/Yahoo!ニュース「ニューヨーク州、緊急事態を宣言・麻疹感染の急増で州知事が行政命令」2026年10月6日/配信元はブルームバーグ https://news.yahoo.co.jp/articles/284e051f330480fcf903a851512fb5c2c6c03b67
この報道を受けて、さっそくワクチンの安全性と有効性を非科学的に妄信する〝ワクチンカルト〟たちがXで湧き立った。たとえば、陰謀論者や反ワクチンをトンデモと批判する記事や著作を書いている黒猫ドラネコ氏は、「これが、参政党など反ワクチンさんたちの望んだ世界ですよ」とポストしていた(2026年10月6日)。また、「すべては反ワクのケネディ保健福祉長官のせい」「反ワクは責任を取れ」などとポストするワクチンカルトもいた。
しかし、これは3億4千万もの人口を抱える米国での話だ。10月5日時点での26年の感染率は0.001%、およそ8万7000人に1人という極めて低い割合だ。ちなみに報道では言及されていないが、入院は352人なので入院率は0.0001%。つまり、およそ100万人に1人ということになる。隔離目的や念のための入院も可能性があるので、この全員が重症とは限らない。ちなみに、米国で2024年に銃殺された人は1万5364人だ。期間が違うので単純には比較できないが、麻疹で入院する人の40倍以上になる。米国では麻疹で重症化するより、銃で殺されるリスクの方が格段に高いのだ。
それに、ワクチンカルトたちが信じる通り、麻疹ワクチンに極めて高い感染予防効果と重症化予防効果があるなら、大騒ぎする必要などないはずだ。CDCのデータによると、直近(2024〜2025年)の未就学児における麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMR)混合ワクチンの接種率は92.5%だ。麻疹のワクチンは95%以上で集団免疫ができるとされており、接種率の低下が心配されているそうだが、ワクチンを信頼しているならば未接種者や免疫が不十分な未感染者に接種を呼びかければ済むことだ。なのに「緊急事態宣言」まで出して煽るのは、ワクチン批判者を潰そうという、極めて「政治的な動き」と読むべきだろう。
*米国の麻疹に関する詳しいデータは米小児科学会〝American Academy of Pediatrics(AAP)〟の〝Red Book Online Outbreaks: Measles〟を参照。https://publications.aap.org/redbook/resources/15187/Red-Book-Online-Outbreaks-Measles?autologincheck=redirected)。
この通信社ブルームバーグの記事には、感染者の麻疹ワクチン接種率や重症者数、死亡者数などの言及がない。それが分からないのに「反ワクチン」を批判するのは、極めて非科学的な姿勢だと言わざるを得ない。前掲の米小児科学会のサイトであらためて調べてみると、「ワクチン未接種または不明」が95%を占めていた(MMR1回投与2%、2回投与3%)。これだけ見ると、感染者の大半が未接種者だと勘違いする人がいるかもしれないが、この全員が未接種とは限らない。なぜなら、麻疹ワクチンの接種は子どもの頃にするものなので、記録のない人や思い出せない人が多いだけかもしれないからだ。

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