… … …(記事全文6,354文字)人が一人死ぬというのは、大変なことだ。お葬式が済めば、それですべて終わりではない。叔母の人生を整理するには、まだいくつかすべきことが残っていた。
まず、電気、ガス、水道、NHK、携帯電話を解約しなくてはならない。放置していたら、いつまでも叔母の口座からの引き落としが続いてしまう。
しかし、解約は簡単ではなかった。水道は料金の通知書が叔母の部屋にあったので、連絡先がすぐに分かった。しかし、電気、ガスはいくら探しても、通知書が見つからない。
仕方がないので、東京電力と東京ガスへ問い合わせてみた。電話をかけると両社とも最初に自動音声が流れる。指示に従って解約手続きの数字を押していくと、「インターネットから解約ができます」と音声が流れて、専用のサイトに誘導しようとする。しかし、ネットからの解約は、契約者番号が分からないとできない。
そこで、自動音声の誘導を振り切って「その他」を選択し続け、担当者へつなげてもらうべくやり直す。番号を何度か押してようやくたどり着いたと思っても、保留状態になってなかなかつながらない。10分近く電子音のメロディを聴き続けて、ようやく担当者が電話口に出てくれる。こんなふうに、電話をするたびに無駄な時間をやり過ごさねばならなかった。
担当者に叔母の住所や電話番号を告げて、データベースを検索してもらった。その結果、分かったのは、叔母が東京電力と東京ガスを別の会社に切り替えていたことだった。どの会社へ切り替えたかは不明だったが、推理を働かせた。叔母は携帯電話の関連会社と契約し、携帯代、電気代、ガス代を一括して払っているのではないだろうか。
携帯電話のショップへ行って、スマホと同時に電気、ガスの契約状況を確かめてもらったところ、推理はバッチリ当たっていた。これは助かった。一括して解約できる。そう思った。ところが、なんとスマホの解約はできても、電気とガスの解約はショップではできないという。
これには、少し憤りを感じた。私も経験があるが、スマホの更新などに行くと、「お得になるから」と、窓口でネット回線や電気、ガス等の会社の切り替えを勧誘される。叔母もそれに乗って一括契約したはずなのだ。しかし、解約を一括でさせてくれない。契約者本人が死亡したというのに、勧誘をするだけして、親族に解約の手間をかけさせるというのは、公的責任のある企業としていかがなものか。
しかも、スマホの解約自体、簡単ではなかった。本人の死亡診断書の写しだけでなく、解約を求める者の戸籍謄本も必要だというのだ。要は、私が叔母の甥であることを証明しろという。幸いなことに、必要になる場合があるかもと予想して、あらかじめ母に取ってもらっていた戸籍謄本があったので、後日それをショップに持参して無事に解約することができた。しかし、もしそれがなかったら、スマホ解約のためだけに役所へ行って、戸籍を取る必要があった。
現在のスマホは個人情報の塊となっているので、不正や犯罪を防止する必要性があるのは理解できる。とはいえ、死亡診断書を持参しているうえに、私の身分を証明する免許証もあるのに、なぜ戸籍を取る手間までかけさせるのか。

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