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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

#132 「陰謀論者」と見下し、笑った者は恥をかく ~分からないものは「分からない」と言えることの大切さ~

米司法省による「エプスタイン・ファイル」の公表と英国の元アンドリュー王子の逮捕(2月19日)をきっかけに、故ジェフリー・エプスタインと関わりのあった人物たちが次々に釈明や要職の辞任に追い込まれ、日本の主要メディアも盛んに報道するようになった。マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏も、エプスタインの犯罪への関与や性病疑惑は否定したものの、ロシア人女性2人と不倫関係にあったことは認めた。

 

エプスタインは、少女の人身売買や性的虐待を組織的に行ったとされている人物だ。その被害者は1000人以上に及ぶと見られている。そして、「ロリータ・エキスプレス」と呼ばれるおぞましい呼称のプライベートジェットに少女たちや政財界の著名人、大富豪たちを乗せるなどして、カリブ海の米領バージン諸島にある通称「エプスタイン島」(リトル・セント・ジェームズ島)へ連れて行き、少女たちに性的虐待を加えていたとされている。

 

そんな悪魔のようなエプスタインと関係があったゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とGAVIワクチンアライアンスからの巨額の寄付等を通じて、WHO(世界保健機関)の感染症対策やワクチン政策に無視できない大きな影響力を持ってきた。「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的とするWHOの理念と、人身売買や性的虐待という反人道的な所業が並び立つわけがない。WHOはエプスタインと関係のあったゲイツ氏とはきっぱりと縁を切り、その影響力を完全に排除すべきだ。

 

ところで、このエプスタイン事件に関する主要メディアの報道は、今にはじまったことではない。米国で大きく報道されたのは、2019年7月に元被告が性的人身売買罪で起訴され、翌月に拘置所内で死亡しているのが見つかった頃だった。そして日本でも、いくつかの主要メディアがこれを取り上げている。たとえば日経新聞が2019年7月16日に「少女買春の米富豪起訴、政財界に波紋 イスラエル飛び火」という記事を出している。このときすでに、元被告が所持していた手帳に政財界の有力者、俳優や学者の名前・連絡先などが書かれており、トランプ米大統領、クリントン元米大統領、英国のアンドルー王子らの名前があったこと、そして著名人まで捜査が広がるかどうかが焦点になると言及されていた(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47363570W9A710C1FF8000/)。

 

このエプスタインについての噂を私がよく耳にするようになったのは、2022年頃、コロナワクチンに反対する人たちとの付き合いが多くなってからだった。エプスタイン島での性的虐待や政財界の有力者との関係など現在報道されている話だけでなく、おぞましい小児性愛(ペドフェリア)や儀式的な人肉食の話、そしてグローバルな秘密結社の悪魔崇拝(サタニズム)と結びついていると耳にした記憶がある。これらの話は、米国の陰謀論集団「Qアノン」から広がっていったらしい。

 

エプスタインをめぐる噂を信じている人たちは、「これが隠された真実だ」と言わんばかりに、真剣なまなざしで話してくれた。複数の人から同じ話を繰り返し聞いたと思う。もちろん、俄かには信じがたい話ばかりなので、私は鵜呑みにはしなかった。だが、頭からバカにしたことはない。なぜなら、すべてがまったくデタラメな噂話だとも断定できず、一部は本当だったと明らかになる日が来ないとも限らないからだ。

 

だが、「反反ワクチン」の思想を持つ人たちは、エプスタイン事件について語る人たちを、頭から「陰謀論」としてバカにする傾向が強かった。たとえば、テレビコメンテーターなどを務める文筆家の古谷経衡氏は、著書『参政党と神谷宗幣 不安と熱狂の正体』の中で、エプスタイン事件を語る「反ワクチンの陰謀論者」を、こんなふうに描いている。

… … …(記事全文5,750文字)
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