Foomii(フーミー)

X(ツイッター)では言えない本音

鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

#117【反ワクチン】のレッテル貼りこそ非科学的だ ~原口一博氏と岩田健太郎氏のやりとりをめぐって

立憲民主党衆議員議員・原口一博氏と神戸大学感染症内科教授・岩田健太郎氏がX(旧ツイッター)でやり合っている。2025年11月12日、原口氏が高市早苗首相について「新型コロナワクチンの異物混入でもお苦しみとのこと」と書いたのが発端だ。このXでの投稿は、激務で美容院に行けないうえに、関節リウマチも患う高市首相の健康を気遣う内容だった。ところが、何を思ったのか岩田氏がこれを引用して、「立憲民主党は原口氏を除名してほしい。政治家としての職能がない。『新型コロナワクチンの異物混入でもお苦しみ』」と、原口氏を揶揄する投稿をしたのだ。

 

これに対して原口氏が「高市総理ご自身が公表されていることをもとに私が心配を申し上げたら何故、政治家として職能がないとまで言われ立憲を除名されなければならないのでしょうか?」とすぐさま反論。原口氏と親しい医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏も「原口議員は高市氏にお見舞いの言葉を発信しただけ。それを『除名』『職能がない』と岩田氏は言ったわけですから、これは明らかに事実誤認による誹謗中傷」と指摘。謝罪をするべきだと迫る事態に発展した。

 

私も動画を確認したが、2021年9月13日の総裁選出馬会見で高市氏が「1回目を受けたときに、たまたま異物入りのワクチンだったので、相当長い間不調に悩まされました」と語っていたのは事実だ。ライターの中川淳一郎氏なども指摘する通り、岩田氏は高市氏の発言を知らないで「反ワク議員がトンデモなことを言っている」と思い込み、投稿したのだろう。岩田氏は問題となった元のポストは削除したものの、それ以降も「政治家が反ワクチンなのは職能を欠く」「政治家、官僚にありがちな『東大話法』、論点ずらし」などと論点をずらしのレスを続け、11月14日時点で原口氏には謝罪していない。

 

さて、この一連のやりとりを見て、私が一番引っ掛かったのが、岩田氏が「反ワクチンは非科学的、かつファクト認識を欠く態度であり、政治家が反ワクチンなのは職能を欠くものである。これは調理が出来ないシェフが職能を持たぬのと同様である」と書いていたことだ。過去のポストも確認したが、岩田氏は「個々人が反ワクチンなのは自由」「反ワクチンの人は悪人ではありません」などと言いつつも、「(政治家、官僚、医療者など)プロは反ワクチンになってはいけない」「闇バイトといい、反ワクといい情報弱者は辛すぎる」「変なイデオロギー(全部薬害とか反ワクとか)」などと書いて、「反ワクチン」をこき下ろす投稿を何度もしている。

 

また、岩田氏は過去に読売新聞でも反ワクチンを批判する論説を書いている。その中で岩田氏は、「世の中にはかなり確信犯的に『ワクチンは怖い』『ワクチンは危ない』『ワクチンは効かない』とワクチンの有害性を主張し、接種しないほうがよいとアピールする人たちがいます。ありもしない情報をでっち上げたり、過度に危険をあおったりします。これがいわゆる『反ワクチン』派の人たちです」と決めつけている。さらには「反ワクチン活動」をヘイトスピーチと同列に並べて、「明らかに他者の生命や健康、人権を害するような『言論』『表現』は許されることではありません」と書き、「反ワクチン本」をわいせつな漫画や雑誌と同じように「有害図書」に指定すべきだとまで主張している(Dr.イワケンの「感染症のリアル」「新型コロナ『反ワクチン本』は『言論の自由』なのか」2021年7月5日 https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20210702-OYTET50001/)。

 

こうした一連の投稿や論説を読んで私が一番違和感を覚えるのは、「誰が」発信した「どの」主張が「どう」非科学的で有害なのか、具体的な引用もデータによる反証もほとんどせずに批判していることだ。とにかく岩田氏は「反ワクチン」が許せなくて、彼らの口を封じてやりたいと思っていることだけは分かった。岩田氏にとってワクチンの安全性と有効性はすでに科学的に証明された所与のものであり、それに疑義を呈する者はすべて「反ワクチン」ということになるのだろう。

 

だが、こうした「レッテル貼り」こそ、非科学的で反知性的ではないか。確かにコロナワクチンに反対する人たちのSNSの投稿やいわゆる「反ワクチン本」の中には、事実の裏付けのないデマ情報や非科学的な主張も散見される。しかし、世の中にあるワクチン批判のすべてがそうというわけではない。確かな事実や科学的データに基づく真っ当な批判も多いのに、具体的な指摘のない岩田氏の記述は、真っ当な批判まで「トンデモ」と誤認させてしまう。このような印象操作的なやり方は、科学的態度を欠くアンフェアなものと言わざるを得ない。

 

たとえば、コロナワクチンに対して、次のような疑義が出されている。これらは「事実に基づかないトンデモな主張」と言えるだろうか。

1.国民の7~8割が2回接種すれば集団免疫ができて、日常に戻れるかのように政府関係者や医師たちによって喧伝されていたが、コロナは収束せずいまだに感染の波は続いている。結局のところコロナワクチンには期待された感染抑止効果はなかったのではないか。

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