… … …(記事全文4,002文字)◆開会式の演出を大会組織委員会が謝罪
パリ五輪が7月26日、開幕しましたが開会式の演出が奇抜というか、醜悪すぎて見るに堪えないものでした。フランス革命でギロチン台の露と消えたマリー・アントワネット王妃が自分の首を持って登場するだけでもギョッとしますが、その首がなんと口をパクパクさせて「革命歌」を歌うのです。実際に王妃が処刑を待つまでの間、幽閉されていた建物、コンシェルジュリーの窓から真っ赤な紙テープが噴射され(血を表現しているつもり)、ジャンヌ・ダルクに扮した女性が真っ赤な紙テープのシャワーを浴びながら気持ちよさそうに革命歌を歌う…。これの一体、どこが面白いのでしょうか。クリスチャンが人口の約1%しかいない日本ではさほどの抗議行動は起きませんでしたが、世界のクリスチャンを激怒させたのがレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」のパロディでした。
「最後の晩餐」はイエス・キリストが処刑前に12使徒と夕食をともにする新訳聖書の一場面を描いたものとして有名です。ところがパロディ版では素っ裸の体を青く塗った男が「ディオニソス」に扮してみたり、冠を被ったデブのドラッグクイーン(LGBTQのダンサー)を中心に色とりどりのダンサーが食卓らしき台の前でくねくねと卑猥な動作をします。フランスのカトリック教会は「キリスト教に対する愚弄と冷笑があった」として遺憾の意を示したそうですが、当然です。パロディにしても悪趣味すぎて笑えません。
大会組織委員会は28日の記者会見で謝罪し、開会式のYouTube動画を削除しました。報道担当者は「宗教団体に対する軽蔑を示す意図はなかった」「誰かを不快にさせたとしたら、すまなく思う」と述べました。しかし開会式の演出について「寛容な共同体を称えようとした。世論調査の結果でも示されているように、その目的は達成されたと思う」と述べたそうですから、実はまったく反省していないのです。何が悪かったのか、何が批判されているのか彼らは理解していません。フランスがカトリックの国だった、パリが芸術の都だったのは遥か昔のことだったのだ、と今さらながら驚かされます。