… … …(記事全文4,460文字)◆犯人は「プベルル酸」なのか
小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」というサプリメントを飲んでいた人の中に腎疾患を発症する人が続出し、死者が5人出たという大騒ぎになりました。3月29日の記者会見で小林製薬は「亡くなったのは5人、入院者は114人にのぼる」と明らかにしました。また製品と原料の一部から検出されたとする「未知の成分」について、「構造までは見えてきたが成分の特定には至っていない」と説明しました。ところが会見途中、オンライン会見をしていた厚労省健康・生活衛生局の三木朗食品監視分析官が「未知の成分は青カビから発生するプベルル酸の可能性が高い、と小林製薬から報告があった」と言いました。この発言について訊かれると小林製薬は「プベルル酸が直接的に腎障害、腎疾患を引き起こしているという仮説もまだ立てていない。毒性のメカニズムすら検証ができていない状態で、混乱させたくなかった」と述べました。
29日の記者会見を報じたANNニュースは「プベルル酸の毒性は非常に高い」というテロップを出しました。これは厚労省の「プベルル酸は青カビが産生する天然化合物。抗生物質としての特性を有することが知られているので、近年では抗マラリアの活性が報告されている。マラリアも殺すような活性があるので、毒性については非常に高いと考えています。一定の原因である可能性については"ある"と思っています」というコメントを引用したものです。しかし東京工科大学の今井伸二郎教授は「プベルル酸に腎毒性の報告は一切ない。紅麹も風評被害、何百年も食べられているがそういった報告は一切ない」と言っています。
「紅麹コレステヘルプ」は販売されて7年たちますが、これまで健康被害の報告はなかったそうです。それなのになぜ急に大騒ぎになったのか。プベルル酸はまだ未知の成分で腎障害との因果関係は分かっていないにもかかわらず、厚労省はまるで犯人扱いです。紅麹に限らず、味噌や醤油などの発酵食品は日本人が昔から食べてきた伝統食品で、免疫力を高めることはあっても毒だという話は聞いたことがありません。この騒ぎには不自然な、胡散臭いものを感じます。