… … …(記事全文4,147文字)◆どんどん膨らむ建設・運営費
日本国際博覧会協会(万博協会)は、元財務省総括審議官の小野平八郎氏を協会のCFO(最高財務責任者)にあてることを発表しました。2月の臨時理事会では、当初809億円としていた運営費が約1・4倍の1160億円に増えることを承認したものの、さらなる増額を防ぐために協会内に「運営費執行管理会議」というものを急遽、置きました。CFOは理事会で予算管理や財務に関する内容を説明したり、局長らに収支に関する報告を求め、助言したりするそうです。小野氏は元財務省のキャリア官僚で、去年9月に協会の副事務総長に就きました。財務のプロの小野氏なら膨らみつづける費用を何とかしてくれるだろうという協会の最後の頼みの綱ということなのでしょうか。しかし、来年4月に万博なんて開催できるわけがない、今は能登半島の被災地復興を優先すべきだという声も大きくなっています。共同通信が2月に行ったアンケートでは国民の7割が「万博よりも被災地復興を優先すべき」と答えています。現実的に考えれば中止か、延期をそろそろ決める時期にきていますが、どうもリーダー不在のまま強行されそうです。
不思議なのは甚大な被害を受けた石川県の馳浩知事が2月2日のBSフジの番組に出て「大阪万博、ぜひやっていただきたい」「わが国の経済成長にも必要」と発言したことです。これについて『日刊ゲンダイ』が内幕を暴露しました。地元関係者の言葉として「あまり知られていませんが、馳さんは22年9月に日本維新の会の顧問に就任しました。同年3月の知事選で維新の推薦を得たことへの“返礼”とみられています。知事選は馳さんを含む自民党出身者3人による保守分裂選挙でした。馳さんは当選を危ぶまれていたが、維新の推薦もあって何とか勝利。大恩のある、維新肝いりの大阪万博を批判できないのでしょう」(2月5日記事「石川県・馳浩知事の異様な万博推し」)と報じています。
馳知事は1月1日、東京の自宅にいたそうです。お正月だからまあ、仕方がないとしても、知事ならば地震直後に地元に駆けつけるべきでしょう。それがなんと2週間後、岸田首相の能登視察に同行して初めて被災地入りした、というのだから呆れます。