… … …(記事全文4,272文字)◆180の事業者が「NTT法廃止」に反対
2月2日、KDDIの決算説明会での質疑応答で髙橋誠代表取締役社長は「能登半島地震を経て、NTTだけが保有する設備が携帯各社のサービス提供に欠かせないことが分かった」と述べました。「能登半島地震で応急的なエリアの復旧はしたが、本格的な復旧には光ファイバー回線が大前提になる。その光回線はNTTの設備である管路・洞道や局舎を介して携帯各社は利用する。NTTさんの特別な資産をベースに携帯電話サービスは構築されており5G、そのあとの(6Gとも言われる)Beyond 5Gをお届けできるという構造は今回の震災であらためて示された。この特別な資産を事業者間で公正に利用することを担保する法律がNTT法。自民党の提言に沿って2025年をめどにNTT法を廃止するというように議論が進むことに非常に違和感を覚える」と、NTT法をめぐる議論に警鐘を鳴らしました。
去年10月19日、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルとケーブルテレビ事業者のほか自治体など180の事業者が連名で「NTT法見直しには慎重な議論を求める」という要望書を自民党と総務省に提出しました。電電公社時代からの資産を持ったままの完全民営化や不採算地域での電話サービス撤退など、公正競争条件が阻害されることや国益が損なわれる事態などが懸念されると主張しました。
しかし12月11日、自民党の萩生田政務調査会長(当時)やNTT法のあり方を検討する作業チームの甘利明座長らは「政府による株式の保有義務を撤廃し、保有する株式を売却するかどうかは政策的に判断すべきだ」「法律を改正し、公平な競争環境の整備や固定電話を全国で公平に提供するサービスを担保するなど必要な措置を講じ次第、再来年の通常国会をめどにNTT法を廃止するよう求める」という提言を出しました。甘利座長は「外国勢は情報通信の分野で大きく動いており、国内で指をくわえて見ているのではなく、外に打って出る時期になっている。可能性を広げるための規制緩和をしなければならない」と述べたそうです。外に打って出るってどういう意味でしょうか。ああ、また郵政民営化の愚を繰りかえすのか、日本の政治家はなぜ失敗例に学ばないのか、とうんざりします。