■冷酷と残忍
いま思い出すと、ずいぶん怖い思いをした。
ある日大学からの帰り道でのこと。私の家は空軍省から近いところにあった。普通は軍関係の施設の近くというのは最も治安のいい地区である。しかし1980年代の初めムスリム同胞団というイスラム組織がアサド政権に対してテロや攻撃を繰り返していた。
私は空軍省の向かいにあるアメリカンスクールに沿った歩道を歩いていた。横の車道に要人が道路に入るときの停止線が置かれた。簡単なバリケードである。しかしそこに1台の軍用のジープが停止線を無視して突っ込んでしまった。

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