… … …(記事全文7,955文字)大阪市廃止・特別区設置構想(いわゆる大阪都構想)について先週、大きな動きがあった。それまで二の足を踏んでいた大阪維新の会の大阪市議団が、早期の法定協議会の設置に賛成する方針へと方向転換したのだ。これによって、3度目の住民投票が実施される公算は大きくなった。
いわゆる都構想の中身を決めるのは、大阪府議会と大阪市議会から選ばれた各会派の議員がメンバーとなる法定協においてである。法定協では特別区の数や各区の職員数、また大阪府による特別区への財政調整などといった制度上の中身を決める。だが、維新市議団はこれまで、吉村洋文知事と横山英幸市長による出直しダブル選に反発し、法定協の設置についても当初、来年4月の統一地方選で民意を得てからとしていた。そこで同市議団は4月からタウンミーティング(TM)を市内24区で開き、市民の声を広く聞いて法定協の設置についての賛否を明らかにするとしていた。
ところが、ここにきて事情が変わった。17日投開票の大阪市議選の西区補選において維新候補が僅差ながら当選したこと、また吉村が来春の府知事選に出馬することを公表したことで、維新市議団は法定協の設置条例案に賛成する方針を固めた。まだ確定ではないが、早ければ来年4月の統一地方選と同時に3度目の住民投票が行われるかもしれない。過去2度も敗れた維新は「3度目の正直」とばかり、あの手この手で住民投票を賛成多数に持ち込むことだろう。誠にご苦労なことである。
しかし、維新の思惑どおりに物事が進むとは限らない。まず問題なのが、法定協で詰める都構想の中身である。
これまでの経緯を振り返ると、大阪市議会では法定協の設置条例案を2013年2月に可決し、2015年5月に1度目の住民投票を実施した。2回目の住民投票は2020年11月に実施され、そのための法定協設置条例案は2017年5月に可決された。つまり、それぞれの住民投票においては、法定協の設置から実際の投票まで2~3年を要しているのだ。
今回、3度目の住民投票を来春までに行いたいとする吉村だが、そうなると法定協のスタートから実施まで1年を切る。もともと問題だらけの都構想なのに、これではお粗末極まりない内容の制度になることが予想される。1度目と2度目の法定協で決められた中身をつまみ食いし、内容スカスカのものが出来上がる。2度とも大阪市民が見向きもしなかった都構想を、まるでバナナのたたき売りのように大安売りすることだろう。

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