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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #162:「ケニヤッタ王朝」からの脱却を図ろうとしたルト大統領と抗議デモ

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第162号(2024年6月30日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

 ~「ケニヤッタ王朝」からの脱却を図ろうとしたルト大統領と抗議デモ~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で162回目のメルマガ配信となります。


現代社会において、政府と国民の間でしばしば意見がかみ合わない状況が見てとれます。これは、両者が見ている「時間のスケールが異なる」ことが主因ではないかと考えられます。


政府は国家の将来を見据え、10年後、20年後といった長期的な視点で政策を立案・実行しなければなりません。一方で、国民にとっては、今日や明日の生活が重要であり、日々の暮らしの中での問題解決が最優先となります。


この視点の違いが、互いの幸福を願う気持ちがありながらも意見がすれ違う主因となっているのだと考えます。


政府が長期的視点で政策を推進するのは、国家の持続的な発展や安定を確保するためです。例えば、社会資本整備や教育の充実、環境保護などの政策は、短期的には費用がかかるものの、長期的には国の発展と国民の生活向上に寄与します。


とにかく教育への投資が最も効果がありますので、教育への投資を疎かにした国に未来はありません。しかし、こうした政策の恩恵が実感できるまでには時間がかかり、国民にとってはその効果が見えにくいことがあります。


一方、国民は日々の生活を営む中で、経済的な安定や雇用の確保、医療や福祉の充実を求めます。これらは即座に解決が求められる問題であり、政府が長期的な計画を優先するあまり、目の前の問題に対する対応が遅れると、国民の不満が高まります。特に経済的に厳しい状況にある国民にとっては、政府の長期的なビジョンよりも、今日の生活をどうするかが最重要課題となります。


国家の「命」は長期間にわたりますが、人間の「命」はたかだか100年にも満たない程度ですから。


政府と国民の時間スケールの違いを埋めるためには、両者の視点を調整する努力が必要です。だからこそ政府は、長期的なビジョンを持ちながらも、短期的な課題にも迅速に対応する柔軟性を持つべきであり、また国民に対して、政府の長期的なビジョンやその重要性を理解してもらうための対話が必要なのですが、政府を動かす人たちが目先の損得に振り回されているのだから目も当てられません。、「弁士」と名乗りながらも、とにかくおかしな日本語でしらを切り続ける姿は見苦しいにもほどがあります。


とはいえ、政府と国民の間で時間スケールの違いを克服するためには、相互理解の促進が不可欠です。国民は、政府の政策が長期的にどのような利益をもたらすのかを理解し、政府は国民の即時的なニーズに対応する姿勢を示すことが重要です。定期的な対話や意見交換の場を設けることで、双方の視点を共有し、共通の目標に向かって協力することが求められます。


政府と国民の間で見られる意見の食い違いは、主に「時間スケールが異なる」ことを主因としています。政府も国民もこのことは理解しておくべきと思います。政府は柔軟性を持ちながら、国民の即時的な要望を感じ取って対応し、国民は政府の長期的なビジョンを理解する努力を続けることが重要ではないでしょうか。綺麗事ですが、実は綺麗事でしか世の中は動きません。


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報

 ~「ケニヤッタ王朝」からの脱却を図ろうとしたルト大統領と抗議デモ~


6月25日、ケニアの首都ナイロビにある国会議事堂にて騒乱が発生しました。


ケニアのウィリアム・ルト大統領が推進する「Finance Act, 2024(財務法2024)」が懲罰的であると批判の声が上がったことに端を発しています。この法案に反対して集まった、数百人の抗議デモに対して実弾が発砲され、少なくとも5人が死亡したとされます。抗議デモは21時に始まり、平和的に行われていたにも関わらず、22時から25時の間に政府の部隊が40発以上の実弾を発砲しました。


ケニア人権委員会が発表した内容によると、ケニア全土で23人が死亡、50人の逮捕者、22人の誘拐、300人以上の負傷者を出したとのことです。


抗議デモに対してルト大統領は、その「抗議行動は反逆行為だぞ、こらー!」と非難しましたが、抗議者たちは、ケニア国民の意思と憲法上の権利を尊重すべきだと主張しています。抗議者たちの主張は、大統領の権限は国民から与えられているものであり、権力が機能しない場合はいつでも代替できると強調しています。この事件は、ケニアにおける民主主義と人権の重要性を再認識させるものであり、政府と市民の関係を見直す契機となるかもしれません。


▼Ruto must take responsibility for protests’ gross human rights violations

https://khrc.or.ke/press-release/ruto-must-take-responsibility-for-protests-gross-human-rights-violations/


■国民は何にブチ切れている?

ケニア国民が「ブチ切れている」財政法案は、5月初めに国会に提出されました。法案の主な内容を箇条書きに6つまとめてみました。このうち、特に5番目と6番目に対するケニア人の怒りが大きかったと言われています。


1.収益化されたデジタルコンテンツ制作に対する課税

2.銀行送金などのデジタル決裁やデジタルマネー決済に対する5%の増税

3.国民医療保険に加入している給与所得者に2.75%の所得税を課す

4.自動車税の導入→車両価格の2.5%を課す

5.

… … …(記事全文7,120文字)
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