Foomii(フーミー)

やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #163:「ケニヤッタ王朝」の負の遺産に振り回されるルト大統領

////////////////////////////////////////////////////////////////

やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

////////////////////////////////////////////////////////////////

第163号(2024年6月30日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

 ~「ケニヤッタ王朝」の負の遺産に振り回されるルト大統領~

////////////////////////////////////////////////////////////////

こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で163回目のメルマガ配信となります。


政治家に限らず「有言実行」を実践できる人は、人間として尊敬できます。それは日本を動かしていく政治家の方々に求められる姿勢のはずですが、現実には「有言不実行」の政治家が多いと感じることが少なくありません。選挙のさいに掲げたマニフェストが実現されないことに対する失望は、時に怒りとなって多くの人々の不満を引き起こします。特に、選挙公約が守られない場合、その政治家や政党に対する信頼は大きく損なわれるはずなのですが、組織票に守られるのが政党政治の問題点といえます。


先進国、途上国に限らず、世界の多くの国々では政治家の「有言不実行」に対する国民の反応は非常に激しいものがあります。選挙公約が守られない場合、国民はデモや暴動を起こし、政治家に対する強い抗議を示すことがあります。ジョージ・ブッシュ(パパブッシュ)が一期で米国大統領の座を退いたのも、「増税しない!」と公言していたことを反故にしたからに他なりません。


これに対し、わが国では、政治家の愚行や選挙公約の未達成に対する国民の反応は比較的穏やかです。多くの人々がネット上で愚痴をこぼすだけで、実際に行動を起こすことは少ないのが現状です。特に若者において、選挙への関心が低く、投票率も低迷しています。これは、政治に対する無関心や不信感の表れであり、結果として政治家がやりたい放題に振る舞うことを許す状況を生んでいます。


本来であれば、それを野党が政策で競い、与党に焦らせるべきなのですが、残念ながらわが国の野党にはそれだけの力がありません。だからこそ、「反対!」と明確に意思を表明しないことが、事実上「賛成」と見なされてしまい、与党政治家の行動に対するチェック機能が弱まる原因となっています。


有言不実行の政治家は、国民の信頼を失うだけでなく、社会全体の政治参加意欲を削ぐ結果を招きます。選挙での公約が実現されないことが繰り返されると、国民は「どうせ変わらない」と諦めの気持ちを抱き、政治に対する関心を失ってしまいます。このような状況が続けば、民主主義の根幹である国民の意思が反映されにくくなり、社会全体の停滞を招く恐れがあります。これに少子高齢化を背景としたシルバーデモクラシーが拍車をかけ、社会が硬直した状態となっています。


政治家の有言不実行は、多くの国民にとって大きな問題です。特にわが国においては、若者の政治離れや、ネット上での愚痴だけで終わる傾向が強く見られます。嫌なものは嫌であると、国民一人ひとりが「反対!」と明確に意思を表明し、政治家の行動を監視することが、より良い社会を築くために必要不可欠ではないでしょうか。


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


////////////////////////////////////////////////////////////////

①世界各国の地理情報

 ~「ケニヤッタ王朝」の負の遺産に振り回されるルト大統領~


前号では、ケニアで発生した抗議デモと、ルト大統領が就任するまでのケニアの歴史について解説しました。


▼#163:「ケニヤッタ王朝」からの脱却を図ろうとしたルト大統領と抗議デモ

https://foomii.com/00223/20240630170000126057


今回のケニアでの抗議デモは「増税は反対だ、コノヤロー! 俺たちの生活が苦しくなるじゃねぇっか!」という国民の声によるものでした。「国の借金で首が回らねぇんだ! だから、増税は止むなしなんだぜ!」というのが政府の主張だったわけですが、今日や明日の生活を最優先する国民にとっては迷惑千万でしかないというわけです。


こういった主張はわが国でも行われているように思います。「将来の子供たちにツケを回すな」という主張です。「国民の安全のため」「公共の福祉のため」「将来の子供たちのため」「少子化対策のため」「環境保護のため」など、こうした耳に心地の良い言葉は反対することすら憚られるようなものであり、これを掲げて政策を通そうとする人を疑ってかからなければならないほど、今の政治に信頼性がおかれていないという情けない状態となっています。


美辞麗句に酔いしれる人は、現状変更がほとんどできないのが現実です。

… … …(記事全文8,410文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • 価格:198円(税込)

    ひと月まとめて購入するとさらにお得です。

    価格:770円(税込)

    2024年6月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年6月19日に利用を開始した場合、2025年6月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年7月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

softbank

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する