… … …(記事全文3,231文字)●90代が「胃ろう」なんて! それが常識
どうやら、この地域では90代の高齢者が口から食べ物を摂ることが難しくなった場合、つまり嚥下機能が低下した場合、いずれ全く食べられなくなるのだから、その時を待って死んでもらうのが常識のようだ。特別養護老人ホーム(特養)に入所していればなおさらのこと。呼び出しを受けて出向いた病院で医師の話を聞いてよく分かった。
その医師は、「まさかあなたが、『胃ろう』などと言い出すとは」と言わんばかりの口調で話し始めた。胃ろう自体が合わずに嘔吐する人、食道の方へ逆流するなど受け付けない人もいる。経鼻胃管栄養については、特養では処置ができない。そんな理由であっさり選択肢から除外してしまった。
●最低限の説明はすべき
説明が雑ではないかと思った。普通ならば、口から食べ物を摂れなくなった場合、以下の三つの栄養補給方法がある。ここから説明を始めるべきである。
・経鼻胃管栄養
・経静脈栄養
・胃ろう
経鼻胃管栄養は、鼻から胃までカテーテルを通して栄養剤を入れる方法で、経静脈栄養は血管に栄養成分を直接注入する方法。そして胃ろうである。
このうち、胃ろうは、他の方法に比べて施設等で管理しやすく、手軽な栄養補給によって、利用者の生活の質を向上させやすいという特長を有している。ただ、本来胃ろうの目的は、嚥下機能回復リハビリテーションにより、自力で食事かできるようになるまでのサポートである。したがって、誤嚥性肺炎の発症を防止できるとはいえ、高齢者特に終末期で意思疎通が取れない人に対する適用は、より慎重な判断が求められる。最低限、この程度の説明は医師として必要ではないだろうか。
●訪問看護師に尋ねると
訪問看護師に尋ねてみた。「この辺では、嚥下機能の低下した高齢者に対して『胃ろう』という選択肢はないんですか」と。ちなみにその看護師は、上述の医師とは異なる病院から来ている。すると、看護師は、「う~ん、難しいですね。延命措置と判断されるし、施設に入っていますからね」と困った顔で答えた。
●私が通院する医師は
私が通院している整形外科の医師に同じ質問をぶつけてみた。「蓮池さん、東京とは言わないけど、隣の群馬県へ行けばすぐにやってくれるから」と新潟県の医療体制を見限っているような口振りで皮肉った。
