… … …(記事全文4,048文字)●櫻井よしこ氏ってどんな人?
いつものように弟が突然問いかけてきた。
「櫻井よしこさんってどんな人なのか」
知らないのが意外だったが、返答した。
「対北朝鮮強硬派でいわゆる右派の急先鋒。やたら『国家』とか『軍備拡大』とかを強調する人。救う会と主張は同一。昔は、日本テレビの『NNN今日の出来事』という番組のニュースキャスターだった。そのころの主張とは180度変容した。『アベ友』の一人だった。神社の境内に住んでいるらしい」
弟は、驚いた表情を見せ「そうだったのか」と呟いた。
「櫻井さんがどうかしたのか」と私が問い返すと、
「今度テレビで櫻井さんとテレビで討論するんだ」
と答えた。
「何を討論するのか分からないが、物腰は柔らかい人だけど言うことはキツイから熱くなるなよ」
と助言すると、
「ああ冷静にやるよ」
とだけ言い残して帰って行った。放送日時やどの局のどの番組なのかはっきり伝えないのが弟の常である。
●櫻井氏に怒鳴られた
櫻井氏はジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長を名乗っており、救う会にも参加していない。にもかかわらず家族会の運動には口を挟んできた。例えば、私が「制裁よりも対話を」と訴え始めた時、電話がかかってきて、「あなたは何を言っているの。制裁しかないでしょ」と半ば怒鳴り声で「警告」された。それが、2度、3度と続き辟易した。「何もしないのに口だけは出すのか」と。
また、横田滋夫妻がモンゴルのウランバートルで孫のウンギョンさんに面会した際撮影した写真を公開した。その時に櫻井氏は横田家に電話をして、「あなた方は何てことをしているのか。こんなことをしていたらめぐみさんはおろか皆殺しにされるわよ」と「警告」してきた。
毎年5月頃、開催される「国民大集会」で司会を務めることが多い櫻井氏。来賓の安倍晋三首相(当時)の挨拶に対して会場から飛んだヤジを制止したものの、元救う会の荒木和博氏が発言の中で「戦争だ、
戦争だ」と連呼したことには、制止も注意もすることはなかったのは旧稿で述べたとおりである。
これらのことから、私は櫻井氏には良い印象を持っておらず、苦手とする存在である。
●新聞の「ラテ欄」で放送日を知る
4月18日付の新聞の「ラテ欄」に「BSフジプライムニュース『蓮池薫&櫻井よしこが拉致問題解決を生討論/ 変容?金恩体制実態』」とあるのを見つけた。
「やはりフジテレビ系か」と腑に落ちたが、何を討論するのかという疑問は解けなかった。弟は多くのテレビ出演をしているが、スタジオ生番組(それも2時間)への登場は初めてであることから、どちらかというと短気な弟が問題を起こさないかと少し心配になった。
●番組を視聴
実際番組を視聴してみると、タイトルは「蓮池薫×櫻井よしこ×礒﨑敦仁(慶応大学教授)拉致問題の実情と解決への策」であった。番組は、以下の三つの大きなテーマに沿って話が進められたが、討論や議論とは程遠く、ほとんどが3人の持論の開陳であり、ときどき司会者が疑問を呈する程度であった。3人とも推測に基づく意見が主であることから、討論や議論にならないのは当然の帰結かもしれない。
・北朝鮮にプレッシャーをかけられるか
・「暫定措置」で事態は動くか
・岸田政権に求められる姿勢
●番組の内容
番組をご覧になった方には申し訳ないが、番組中の3人の発言内容を記したい。
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)