… … …(記事全文4,605文字)去る2025年7月16日付で、アメリカの有力シンクタンクであるハドソン研究所が、China after Communism: Preparing for a Post-CCP China(共産主義後の中国:中国共産党後の中国に備えて)というレポートを発表しました。覇権主義を隠そうともせず、人民解放軍の拡大に余念がない習近平の中国ですが、かつてのソ連や東欧のように突然崩壊する可能性があり、その時アメリカと世界はどう対応すべきか、という考察です。今回はまずそのレポートの要約をご紹介し、それを踏まえて、その時日本は何をすべきか、どうやって日本を守るべきかについて考えたいと思います。
エグゼクティブ・サマリー
中国共産党(CCP)は体制強化と世界支配を追求しているが、深刻かつ複雑な構造的課題に直面している。国内的には、誤った政策の下で経済成長が急減速し、人口の高齢化と出生率低下が労働供給、消費、社会保障制度に悪影響を及ぼしている。不動産市場は数百万戸の未販売住宅とデベロッパー破綻によって危機にあり、若年層の高失業率が不安定さを助長している。党内腐敗や官僚の非効率、浪費も進展を妨げ、国民の信頼を損なっている。
国際的には、米国や西側諸国との貿易摩擦が輸出と外国直接投資を脅かし、対外融資による「債務の罠」はグローバルサウスとの関係を複雑化させている。国際機関における外交官や要人は中国の影響力に懐疑的になりつつあり、外交は困難を増している。
中国はこれまで危機を乗り越えてきたが、体制崩壊は「あり得ないこと」ではない。世界最長の共産独裁政権かつ第2の経済大国が国内外の問題で崩壊する場合、各国は対応を考慮しなければならない。
本報告書は、軍事、情報、経済、人権、移行期正義、憲政などの専門家による論考を収録し、崩壊直後の対応や安定化後の長期的展望を検討する。歴史分析や戦略的予測を踏まえ、一党独裁崩壊のプロセス、制度変容、中国特有の政治経済社会の課題を扱い、将来像を描き出す。
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各章の要点

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