… … …(記事全文3,277文字)ついに石破茂首相が辞職を決断いたしました。ここに至るまで、相当な圧力がかかったであろうことは容易に想像できます。永田町界隈で囁かれていたのは、石破首相が総裁選前倒しを決められた場合、報復的に「道ずれ自爆解散」を仕掛け、前倒し賛成派の公認を外すという恐怖のシナリオでした。実際、石破首相が法務局に対して「国会閉会中でも解散できるか」を問い合わせていたとの報道もあり、最後まで徹底抗戦の構えであったのは事実でしょう。周辺にもそのシナリオを支持する者がいた可能性があります。しかし、最終的には党分裂を避けるために断念せざるを得なかった。その背景には、菅義偉氏と小泉進次郎氏が直前に面談していたことから、次期政権での厚遇を条件としたディールが存在したのではないかとの観測も流れています。つまり、小泉総理が実現したら副総裁の椅子を保証する、というような。これらの舞台裏は、今後少しずつ明らかになっていくことでしょう。
石破首相の辞任スピーチは、冗長さに辟易する内容でありながら、笑えない茶番を含んでいました。彼は辞任の理由として「関税問題に一区切りついたこと」を挙げたのです。NHKなどの世論調査では、石破政権の関税交渉を「評価する」「どちらかと言えば評価する」と答えた国民が半数程度に達したとの数字が出ています。だが、これは大変な無知に基づく評価です。
赤沢交渉の実態 ― 交渉とは呼べぬ屈辱的敗北
赤沢大臣が行った関税交渉は「交渉」とすら呼べない屈辱的敗北です。日本は完全に「ATM」扱いされただけでした。赤沢大臣の説明とアメリカ側の発表が大きく食い違ったことは国会でも問題視されましたが、決定的だったのは9月4日にトランプ大統領が署名した大統領令の内容です。
ホワイトハウスの公式文書を精読すれば、赤沢交渉が無残に叩きのめされ、日本が一方的に貢がされている実態がはっきりと示されています。
「経済非常権限法」に基づく強権発動
まず注目すべきは、アメリカ側が関税の根拠として「Emergency Economic Powers Act(経済非常権限法)」を持ち出している点です。これは本来、

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