海外報道が描く実態と政府の釈明のズレ
石破政権が打ち出した「アフリカ・ホームタウン」構想は、発表直後から国内外で激しい議論を巻き起こしました。JICA(国際協力機構)は2025年8月、横浜でのTICAD9で「日本の地方都市とアフリカ諸国をホームタウンとして結び付け、交流を促進する」と発表しました。政府説明は「文化交流」「相互理解」「地方創生」といった美辞麗句に彩られ、「移民受入や特別ビザ創設は全く意図していない」と強調しています。ところが、海外の報道はまったく異なる様相を示しています。
BBC News Pidgin は「日本政府がナイジェリア人に特別ビザカテゴリーを設ける」と報じました。ナイジェリア大統領府の公式声明も「木更津市をナイジェリア人のホームタウンに指定し、高度技能や職人層を対象とした特別ビザを創設する」と明記しました。さらにナイジェリア大手放送局のTVC News(News Central TV)は「ナイジェリア人が日本に住み、働けるビザを日本政府が創設する」と伝えました。
つまり現地では「移住・定住を伴う特別ビザ制度」と理解されており、外務省やJICAの「ただの交流」という説明とは根本的に矛盾しているのです。
極めつけはタンザニアの有力紙 Tanzania Times の報道です。「日本政府は山形県長井市をタンザニアに献上した」という刺激的な見出しで、まるで日本の自治体がアフリカ国家の領土の一部になるかのような印象を与えました。JICAや外務省が「誤解だ」と否定しても、こうした国際的な報道が既成事実化してしまえば、国際社会に深刻な誤解を残します。
背後にあるOECDレポートの勧告
この動きの背後には、OECDの勧告があります。2024年に公表された報告書『Recruiting Immigrant Workers: Japan 2024』は、日本の労働移民政策を包括的に分析したものです。その内容は日本にとって看過できないものであり、JICAスキームの方向性がこれに沿っていることは疑いありません。以下、OECD報告書の要点です。
日本の現状
• 日本の外国出身人口は全体の2.2%(2021年時点)で、OECD平均の10.4%を大きく下回っている。
• 移民の内訳は「高技能人材と家族」が約半数、「技能実習生」が約1/4、残りは留学生。
• コロナ禍で一時的に減少したものの、2022年以降は再び増加傾向。
政策の特徴
• 日本は「需要主導型」で、雇用主が直接外国人を募集できる。
• 他国にあるような「労働市場テスト(まず国内労働者を優先する制度)」や「最低賃金上乗せ要件」はなく、参入障壁が低いのが特徴。
• 手続きは比較的迅速で、デジタル化も進みつつある。
制度の歴史
• 1950年代から高技能ビザを整備。1989年改正で研究者・教授・企業内転勤などのカテゴリーを強化。
• 同年、日系人の「長期滞在ビザ」も導入。
• 2019年には「特定技能(SSWP)」が創設され、中低技能労働者の流入を公式に認める転換点となった。
• これに先立つ形で運用されてきた「技能実習制度(TITP)」は、名目上は研修目的ながら実態は労働力供給であり、労働環境の問題も指摘されている。
OECDの評価と提案
• OECDは、日本のTITPとSSWPを統合し、「スキル・モビリティ・パートナーシップ(SMP)」を導入すべきだと勧告。
• SMPとは、送り出し国と連携し、技能移転・資格制度・労働環境整備を通じて長期的な労働力供給を確保する枠組み。
• 留学生の受入・定着にも力を入れるべきとし、日本語教育、家族支援、社会統合策の強化を求めている。
要するに、OECDの勧告は「日本も欧州並みに労働移民を受け入れ、制度的に拡充せよ」という圧力に他なりません。JICAの「ホームタウン」スキームは、その一環として地方都市を外国人定住の受け皿にしようとする動きだと見るべきです。
欧州の失敗に学ばぬ愚
しかし、日本がこの流れを盲従してよいわけがありません。欧州の現実は警告に満ちています。ドイツは1950年代から「ゲストワーカー」としてイタリア・トルコなどから大量の労働者を受け入れました。当初は一時的滞在とされたものの、彼らは定住し二世三世が生まれ、結果として統合問題が深刻化しました。教育格差、治安悪化、文化的断絶は今なお社会不安の要因です。
移民政策を長年推進した欧州諸国は、近年方針を転換しつつあります。フランスやドイツでは入国規制や社会統合の強化策が導入され、もはや「移民礼賛」から「制御と抑制」へと舵を切っています。それにもかかわらず、日本がOECDの勧告を後追いして移民受入を拡大するのは、歴史から何も学ばない愚行です。
日本の治安を守ってきたもの
日本が欧州に比べ治安と社会の安定を保てた理由の一つは、大規模移民政策を採らなかったことです。確かに技能実習制度などには問題がありますが、欧州型の「人口置換」的政策は避けてきました。それが同質的社会と比較的高い治安水準を維持した要因でした。
今、「ホームタウン」構想や「インドからの5万人労働者導入計画」が進めば、その強みを自ら放棄し、欧州と同じ轍を踏むことになります。
技術立国としての道を歩め
日本の選択肢は移民ではありません。ロボット化・AI活用による生産性革命こそ本道です。
日本は世界有数の産業用ロボット生産国であり、介護ロボット、物流自動化、製造ラインのAI管理など、既に先進事例を持っています。これを本格的に導入すれば、労働力不足を補うどころか、生産性を飛躍的に高めることが可能です。AIは事務作業や翻訳、法務補助などホワイトカラー分野にも活用でき、人材をより高度な業務へと振り向けられます。移民依存ではなく、技術革新によって未来を切り拓く。これこそが日本の生き残る道です。もちろん、働き方改革や103万円の壁などの「働き控え」を招く政策も見直さなくてはなりません。
JICAスキームは即刻キャンセルせよ
OECDの勧告に追従し、JICAが「アフリカ・ホームタウン」スキームを進めることは、日本を移民国家に転落させる危険を孕んでいます。海外ではすでに「特別ビザ」「定住スキーム」「自治体献上」と報じられており、国内説明との乖離は覆い隠せません。
このまま進めば、日本は単なる「人口置換」に帰結し、国の基盤そのものを喪失するでしょう。
日本がすべきは明白です。
• 移民に頼らず、ロボットとAIを駆使した生産性革命を起こすこと。
• 技術立国としての誇りを取り戻すこと。
• 歴史から学び、主権と文化を守り抜くこと。
「ホームタウン」スキームは即刻キャンセルされるべきです。
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