… … …(記事全文2,086文字)フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏は、その著書『西洋の敗北(La Défaite de l’Occident)』において、西欧社会の衰退の本質を鋭く抉り出しています。彼が明確に指摘するのは、資本主義を内側から支えていたプロテスタンティズム、すなわち禁欲や倫理といった宗教的道徳が完全に失われたことが、西欧社会を崩壊へと導いたという事実です。
資本主義とは、本来無秩序な欲望の解放ではなく、倫理によって抑制された経済活動であるべきものでした。プロテスタント的倫理は、近代資本主義の発展に不可欠な「節度」と「誠実さ」を担保してきましたが、それを喪失した西欧は、快楽と自己中心性を正当化する拝金主義に堕し、社会秩序も経済的持続性も次第に損なわれていきました。
トッド氏の論点は鋭いのですが、私たちはさらにその根底にある「価値の反転」に注目する必要があります。すなわち、
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