… … …(記事全文2,462文字)アメリカに出張して、トランプチームの人々と踏み込んだ議論ができたのは大きな収穫でした。しかし、それはこちらが前向きであることに加えて英語での議論に慣れているので、相手が違和感を覚えずに話してくれたことが大きな要素の一つでした。議論(ディベート)するのが当たり前であり、今回はありませんでしたが、交渉するのも当たり前の世界です。
ところが、その当たり前を理解していない国があります。日本です。これまで、貿易摩擦などに際しては必死に交渉してきたはずでしたが、気が付くとボロ負けになっています。90年代の冷戦終結後、アメリカは脅威となった日本の経済を何とか弱体化しようと必死に交渉してきましたが、日本側は何の抵抗も示さずに唯々諾々と従いました。
「アメリカ様が怒っているのだから、アメリカ様の言う通りにするのが結局正しい」
「交渉で関係を悪化させてはならない」
「交渉は譲歩を伴うのが当然」
「交渉は必ず落としどころがあり、決裂してはならない」
まるでこんなふうに思い込んでいるかのようです。
去る1月25日、令和専攻塾第4期の授業で、東京大学大学院名誉教授の鈴木宣弘先生にお話し頂きました。鈴木宣弘先生といえば、日本の農業と食糧安全保障の脆弱さについて精力的に発信されています。結論的には、日本の農業政策は食料自給率を低めるばかりであり、日本の実際の食料自給率は10%以下なので、何らかの有事で輸入が途絶えれば、日本人はたちまち餓死してしまうということでした。
なぜこんな惨憺たる事態に陥ってしまったのかですが、私はその要因を次の2点に要約することができると思います。
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