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さる5月18日、江藤拓農業水産大臣が「私はコメは買ったことがない。支援者の方々がたくさんコメをくださり、売るほどある」と高騰する米の価格に苦しむ庶民をよそに問題発言。
発言から3日後の5月21日に辞任に至った。
その日、小泉進次郎氏は農水相に就任したのである。
さっそく備蓄米を5キロ2000円で提供すると述べ、彼の迅速な対応を評価し、まるで日本の救世主であるかのように称える人々も現れたが、実のところ誰であってもできることをしたにすぎない。
「月刊ウィル2025 8月」号における藤井聡(京都大学大学院教授)と高橋洋一(数量経済学者、)両氏の対談の中で、藤井氏はその真相をこう説明している。
「進次郎氏が二千円の備蓄米を出せたのは、財務省が五百億~八百億円を出したからです」
財務省の目論見としては、進次郎フィーバーを起こすことで石破政権の支持率を回復させ、参議院選の自民大敗を回避。
その後、自公政権と立憲民主党との連携により、消費税増税というシナリオの元、二千円米の費用を放出した。
その目的のためなら八百億円であっても惜しくはないということだろうか。
もっとも世間はそんなことを知る由もなく、6月14、15日に行われたFNN(フジニュースネットワーク)の調査によれば、次の首相にふさわしい人の一位に小泉氏は躍り出ている。
一方で彼の無知ぶりが「小泉進次郎『無知発言』連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?」なる記事が「日刊ゲンダイ DIGITAL」(6/22)に掲載されている。
それによれば、6月18日の民放番組で、「たった一ヵ月しか使わないのに2000万円もするコンバインを買うのはおかしい。普通はリースで借りるでしょ」と発言。
これには稲作農家の6割以上を占める小規模農家(農地が1ヘクタール未満)の人々が激怒した。
そもそも小規模農家ではコンバインを買う余裕はない。
それゆえ刈り入れ期には何戸かで共同で地域農協のコンバインのレンタルを利用しているのだ。
また、私自身知らなかったのだが、リースとレンタルは似て非なるものである。
リースは新品の製品を数年~数十年と長期にわたり借り、途中解約はできず、メンテナンスもする。
要は高額のものをローンで買う仕組みに似ている。
片やレンタルは中古のものを数日~数か月と短期間で借り、メンテナンスもしなくてもいい。
リースよりも割高になるが、そもそも短期間しか借りないので一番費用がかからなくて済む。
とにかくその指摘が見当はずれなだけでなく、小規模農家の人々を激怒させるという大失態をしでかしたのである。
さらには前年の米の出来と比較し、米市場の取引価格を決めるために重要な「作況指数」の公表をやめると宣言してみるとか、政府の備蓄米の段階的放出を減価償却にたとえて正当化するという意味不明な行いまでしている。
減価償却とは、設備投資などの固定資産を段階的に経費に算入する会計処理だが、普通は何年かかけて元の投資の分を会計的に処理できるかを問題にする。
ここで大いに論理を飛躍させ、この「何年かかるか」ということと備蓄米を「何段階かに分けて放出する」という部分に共通する要素を見出したということだろうか。
それにしても意味不明だが、このようなことを何度繰り替えしても懲りないところを見ると、無知であることを自覚していないように思われる。
さらにあきれたのは、6月20日、小泉氏が自身のX(旧ツイッター)で、「LINEヤフーが米5キロを3000円で販売する」と誇らしく紹介したことだ。
当然のことながら農水相が特定の業者の宣伝をしたことに激しい批判が巻き起こったが、23日に語ったところによれば、「まったく問題ない」「素晴らしい取り組みを宣伝してはいけないということになれば、政治家はどこへも行けない。そしてどこからも話が聴けない」(JIJI.COM 6/23配信)。
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