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今、4月上旬発刊予定の皇室論に関する本の最終段階に入っているのだが、私が長年気になりつつ、なかなかその細部を知ることができなかった、あるいきさつがようやく判明したので、ここに書き記しておこうと思う。
それは、2017年(平成29)の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」なるものの成立過程で起きたこと。
附帯決議の内容は以下の通りだ。
一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
二 一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。
三 政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。
右決議する。
この附帯決議によって2021年(令和3)に、安定的な皇位継承のための有識者会議が開かれたわけだが、私がずっと気になっていたのは、当時の天皇陛下が皇室典範の特例法によって生前退位する際になぜこの附帯決議が、特に「女性宮家」という具体的な提案がついたのかということ。
この附帯決議はあたかも、天皇陛下に生前退位という異例なことをさせてあげるから、代わりにこの附帯決議、特に女性宮家という提案を通せと言っているように聞こえるが、実際はどうだったのだろうということだった。
結論から言ってしまうと、当時国会で、生前退位に関する皇室典範特例法案を、法案の性質上、全会一致で通す必要があった。
しかし民進党(当時)を代表して出席した野田氏が、そうしたいのであれば、附帯決議の中に「女性宮家の創設」という文言を入れるようにと与党(官邸)に迫ったというのが真相だった。
あたかも生前退位と引き換えにこの附帯決議、女性宮家という提案をつけよと脅すかのように言っているように聞こえたのは、まさに野田氏による与党(官邸)との取引があったからなのだ。
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