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前回、前々回と性分化疾患のお話をした。
せっかくなのでこの機会に、既に紹介したケースとは別の性分化疾患について説明してみたい。
それはクラインフェルター症候群だ。
男性限定のこの症候群は、性染色体が普通XYのところ、XXY、あるいはXXXY(またはそれ以上)という状態にあり、Ⅹが1つ以上多い場合に見られる。
このうちXXYであることが全体の80%であるので、このケースについて述べてみる。
XXYは、母からXX、父からYを継承する場合と、母からⅩ、父からXYを継承する場合の2種類がある。
いずれにしても通常よりもⅩが増加することによって遺伝子効果や染色体の不均衡が起き、 遺伝子の発現量が変化。
様々な症状が引き起こされる。
出生男子の500~1000人に1人というから、決して珍しいわけではない。
出生時にペニスがついていることで男子と正しく判定される。
もっとも胎児期、小児期には目立った症状がない。
学童期、特に思春期以降になると、手足が細くて長い、高身長、筋肉がつきにくい、骨密度低い、体脂肪が増加する、女性化した乳房、など全体的に華奢な女性のような体つきになる。
体毛は少ない。
声変わりはないか不完全で、精巣が陰嚢内に入っていない停留精巣か、精巣自体が小さい。
しかしペニスに関しては普通であり、射精はできるが、無精子症である。
そのようなわけで大人になって不妊であることから発覚することが多い。
染色体検査を受けて初めてクラインフェルター症候群であるとわかり、実際には全体の60~70%は診断されないままだという。
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