… … …(記事全文3,304文字)柔道、サッカーなどの相次ぐ誤審、どぶ川のセーヌ川でトライアスロンの水泳競技強行実施、五輪旗を上下反対に掲げる、北朝鮮と韓国の取り違え、選手村の食事がヴィーガン食のようで肉や卵が足りず、そもそも十分な量を提供されない、選手村にエアコンがない、もちろん開会式の悪趣味……とパリ五輪における数々の失態は五輪史に確実に残るだろう。
そんな中、失態ではないが、大きな反響を呼んだのは8月1日の女子ボクシング66キロ級2回戦、イマネ・ケリフ(アルジェリア)対アンジェラ・カリニ(イタリア)だ。
開始早々、たった46秒でカリニは棄権。
ケリフのパンチがあまりに強く、命の危険を感じるほどだったからだという。
確かにケリフ選手は男かと思うほどに筋肉が発達し、骨格もしっかりしている。
そこで多くの人が思ったのが、またしてもトランスジェンダー女性が女子スポーツに参加し、その発達した筋肉などによって本来の女子を圧倒し、メダルをかっさらおうとしている。
しかもボクシングなだけに命の危険も伴う。
今度こそは許せん!ということだ。
X(旧ツイッター)では、ひろゆき氏、元足立区議会議員の松丸まこと氏などのインフルエンサーたちが怒りをあらわにし、中には「トランス女性が女性を殴り殺そうとしている」とつぶやく者もいた。
このように非常に多くの人々の怒りに火をつけてしまった今回の件だが、トランスジェンダーというのは誤りである。
ケリフ選手は性分化疾患(Disorders of Sex Development 略してDSD )だったのだ。
性染色体についてはXYという状態で確かに男性なのだが、胎児期に性分化がうまくいかず、出生時には外に現れている生殖器の特徴から女の子とみなされたのである。
性染色体がXYでこの疾患の場合、様々な段階があり、外性器がまったくの女性であり、体格も性格も女性的な人もいれば、小さいペニスを持つ人もいる。
実は、オリンピックなどの国際大会の女子選手でDSDが問題になったのはこれが初めてではない。
DSDはかつて半陰陽、両性具有などと呼ばれ、既に1930年代から問題視されてきた。
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