… … …(記事全文3,017文字)
ジェイソン・モーガン氏の新著、『私はなぜ靖国神社で頭を垂れるのか』(方丈社)を読み、深く感動した。
今回はこの本を紹介しつつ、私が以前から薄々気づいてはいたが、はっきりとは説明できなかったある疑問が本書の中で氷解したので述べたい。
モーガン氏は麗澤大学国際学部の准教授であり、インターネット上のチャンネル桜の討論番組や月刊誌『WiLL』などにしばしば登場する保守の論客だ。専攻は日本の近現代史である。
アメリカ南部、ルイジアナ州に生まれ、テネシー大学、名古屋大学、中国・雲南大学、ハワイ大学、早稲田大学などで学んだ後、ウィスコンシン大学で博士号を取得した。
日本史を学んだことにより、「アメリカ神話」視点による世界の見方が氏の中で砕け散ったという。
皮肉なことに、日本という外国の歴史を学んだことがきっかけで、母国アメリカの本当の歴史が見えてきたのだ。
もっともモーガン氏は一気にそういう境地に達したわけではない。
たとえば〝南京大虐殺〟を扱った『レイプ・オブ・南京:第二次世界大戦の忘れられたホロコースト』(1997刊、中国系アメリカ人の活動家、アイリス・チャン著)を読み、日本という国はこんなひどいことをできるのか、と怒り、失望した。
ところが、その一方でどこかしっくりしない感覚があり、もしかしてこれは事実とは違うのではないと疑い始めた。
そうしてこの本を批判し、真実を暴く出版物や記事に接することでチャンや前掲書を実際に書いた、背後にいる人物たちに怒りを覚えるようになる。
似たようなことはハーバート・ビックスという左派のアメリカの歴史学者による『昭和天皇』(2001年ピューリッツア賞受賞)でも経験した。
無責任で自分勝手な昭和天皇に憤慨し、日本は最低の国だ、とまで思った。
しかしやはりその一方で、実際に太平洋で日本軍と戦い、「日本の軍人は勇敢で立派だった。敵ながら天晴だった」と常日頃から言っていた祖父の日本人像との食い違いから、違和感を抱き、次第に真実を知るようになっていったのだ。
南京、昭和天皇、慰安婦の強制連行、徴用工、そして最近では黒人奴隷の日本発祥など、なぜこのように毎度毎度、日本や日本人が謂れのない中傷に晒されるのだろうと疑問を抱いていた私だが、その明解な答えがこの本の中にあった。
購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン