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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

トランプは,関税引上げで「貿易赤字を縮小」させつつ,「ドル基軸通貨体制」の維持のために政治力軍事力による「米国債の外国購入量拡大」を狙っているのではないか?

日本政府が,トランプとのディールで「米国債の追加購入」をお土産としてもっていく…という話が報道されています.

 

なんと馬鹿な…という話しなのですが,これを機会に改めて,トランプの経済戦略について,改めて包括的に考えてみました.

 

ややこしい話しですが,とても重要な話しですので,当方が考えた事をそのまま書いてみます.


 

まず,アメリカ・トランプの狙いは「貿易赤字の縮小と,ドル基軸通貨体制の維持」であるように思います.

 

ですがそもそもドル基軸通貨を維持するには,

 

A 米国の貿易赤字の継続と拡大

(アメリカがドルをつかって外国通貨を買って,外国にドルを供給すると同時に,買い取った外国通貨を使って外国製品を買う,という取引を拡大していく.その結果,米国外の世界中が保有するドルが拡大していく)

 

が必要です.

 

が,トランプはその貿易赤字を減らすと言っているのだから,アメリカはドル基軸通貨体制を放棄するつもりなのかと…なんとまぁ,エライ戦略だなぁと思っていましたが,仮にそうではない,と考えてみましょう.

 

だとすると,トランプは,「A 貿易赤字拡大」の代わりに,

 

B 米国外の米国債の購入量の拡大

(米国外が米国債を保有する)

 

をすると,「米国のドル取引需要を高める」ことになり,ドル基軸通貨体制をサポートすることにはなるので,それを狙っているのではないかと…思われます.

 

ですが,それでは決して,「米国外でのドル保有量を増やす」ということではありません.

 

ですから,貿易収支の赤字を減らすなら,貿易収支以外の

 

C サービス収支(デジタル収支等)

D 第一次所得収支(外国企業での利益の送金)

E 第二次所得収支(寄附等)

 

の「赤字を増やす」ことが「米国外でのドル保有量を増やす」ためには必要と思われますが…トランプはこれらの赤字全てを減らし,米国内のドル保有量→流通量を拡大し,米国経済の発展を目指していると考えられます.

 

したがって,そうするとトランプの経常収支政策(貿易収支&サービス収支&第一所得収支&第二所得収支の全ての赤字を減らし黒字を増やそうとする政策)は全て,「米国外のドル保有量を減らす」ものであり,したがって,ドル通貨基軸体制の脆弱化を必然的にもたらします.

 

…が,米国債の外国保有を(例えば赤澤を脅すなどのw)『政治力』でもって拡大できれば…

… … …(記事全文2,944文字)
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