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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

トランプ・ゼレンスキー会談の口論を経た物別れ「失礼」で「アンフェア」なのは一体どっちか?ロシアにもウクライナにも肩入れせず公正に見た上で中立的に判断する.

土曜の夜から突如体調を崩し,ここ2日間,完全に伏せっておりましたが,ようやく少しずつ頭を動かすことが出来るようになりました.

 

症状からして何らかの食中毒かノロウイルス感染かと思われますが,ようやく,お茶碗一杯のお粥とバナナを一本食べることができましたw

 

丁度日月火と三日間,離島に磯釣りを計画していたので,幸か不幸か仕事が全く入っておりませんでしたので,随分とゆっくり療養しました.

 

恐らく明日一日休めば明後日から復帰できると思いますw

 

さて,そんな中,やはり気になるニュースといえば,ゼレンスキー大統領とトランプ大統領のアメリカホワイトハウスでの交渉決裂.

 

ざっと見渡すとトランプ批難が多いようですが,ウクライナ戦争の「客観的文脈」を理解しない,所謂オールドメディアの見解だけに基づくと,そうなるのでしょうが,一体どのようにして両者の会談が決裂したのか,振り返ってみましょう.

 

まず,この両者の口論は,次の記者の質問から始まります.

 

「ポーランドは第2次世界大戦後、何十年もロシアの支配を受けた。子どものころアメリカは世界で最も強く豊かな国で、すばらしい音楽や映画、スーパーカーがあるというだけでなく、世界のための力として見ていた。今ポーランドの友人たちと話すと、あなたがプーチン氏に肩入れしすぎていると心配している。友人たちにメッセージを」

 

要するに,この記者は,トランプに「あなたはプーチンに肩入れしすぎではないか!?」というトランプに対して批判を幾分織り交ぜながらの質問をしたわけです.これに対してトランプは次のように答えます.

 

「どちらにも寄らなければ、取り引きは成立しない。私がプーチン氏についてひどいことを言っておいて『やあウラジーミル、われわれの取り引きはうまくいっているか』と言うのを望んでいるようだが。それではうまくいかない。  プーチン氏に肩入れしてはいない。誰にも肩入れしていない。アメリカに肩入れしているのだ。世界のためになるように、世界に肩入れしている。  このこと(戦争)を終わらせたい。彼(ゼレンスキー大統領)がプーチン氏に抱く憎悪がわかるだろう。私がこうした憎悪を抱えて取り引きをするのは大変なことだ。彼の憎悪はとてつもない。理解はするが、相手方も彼のことが気に入らない。つまりこれは誰かに肩入れするという問題ではない。世界に肩入れし、このことを片づけたい。ヨーロッパにも肩入れしている。これを終わらせられないかと思う。  厳しくなってほしいのか?あなたがこれまで見たことのないような厳しい人間になることだってできる。しかし、それでは交渉を成立させられない。そういうものだ」

 

つまり,

 

・兎に角,私はこの戦争を終わらせたいと考えている.

・そのために私は誰にも同じように肩入れしていないと言えるし,逆に言うなら,プーチンにもゼレンスキーにも同様に肩入れしているに過ぎない.

・だから私は決して,プーチンだけに肩入れしているというわけでは断じてない.

 

と述べたわけです.これに続き,バンス副大統領は次のように述べます.

 

「少しいいだろうか。今のに答えたい。アメリカには4年間、記者会見に立ってウラジーミル・プーチンに厳しいことを言う大統領がいた。そしてプーチンはウクライナを侵略し、かなり破壊した。和平への道、繁栄への道とは、外交に取り組むことかもしれない。アメリカがいい国になるには外交に取り組むことだ。それこそトランプ大統領が取り組んでいることだ」

 

要するに,トランプが言うように,米国が中立の立場(どちらにも同じように肩入れし,同じように肩入れしない立場を取りながら)を取りながら「外交努力」で和平を実現しようとするのが,アメリカの立場だ,と主張したわけです.

 

これに対して,ゼレンスキーが「ぶち切れ」対応を図ります.

 

『「彼(プーチン)はウクライナの東部とクリミアという大きな部分を2014年に占領した。それから何年も。バイデン前大統領だけでなく、当時のオバマ大統領、トランプ大統領(1期目)、バイデン大統領、そしてトランプ大統領(2期目)。ありがたいことにトランプ大統領が彼(プーチン)を止めてくれるだろう。しかし2014年に止める者はなかった。彼はただ占領してわがものとした。人々を殺した。…2014年から2022年まで状況は変わらなかった。人々は停戦ラインで亡くなり、誰も彼を止めなかった。ご存じのとおり彼とは大いに対話し、首脳会談も行い、署名もした。新しい大統領として2019年に彼(プーチン)とマクロン氏(フランス大統領)、メルケル氏(ドイツ前首相)と停戦合意に署名した。皆が、彼はもうしないだろうと言った。ガスの契約にも署名した。

しかしその後、彼は停戦を破り、ウクライナ国民を殺害し、捕虜交換に応じなかった。われわれは捕虜交換に署名したのに、彼は実行しなかった。

バンス副大統領、どういった外交の話をしているのか。どういった意味で言っているのか」』

 

要するにゼレンスキーは『トランプ・バンスは「中立の立場にたって外交努力で和平を実現する」というが,これまで全ての外交努力なんて全く効果がなく,プーチンは侵略を続けてるではないか.好い加減に外交で和平を実現するだなどと言わないでほしい!』とぶち切れたのです.

 

これに対してバンス氏は

『あなたの国の破壊を終わらせるような外交の話をしている。(ゼレンスキー)大統領、おことばだが、大統領執務室に来て、アメリカメディアの前でそれを訴えるのは失礼だと思う。(トランプ)大統領がこの紛争を終わらせようとしていることに礼のひと言でもあってしかるべきだ』

 

とたしなめ,トランプ大統領も

 

『(あなた方は)カードを持っていない。われわれがいて初めて手札を手にできる.われわれは愚かな(前)大統領を通じて3500億ドルを与えた。ウクライナの装備品はみなアメリカが与えたものだ。兵士たちは勇敢だ。しかし、アメリカの装備品を使うしかない。もし、アメリカの装備品がなかったら、この戦争は2週間で終わっていただろう』

 

と図星を突きつけました.これはぐぅの根も出ないほどの,真実の発言です.

 

これに対してゼレンスキーは…

… … …(記事全文4,341文字)
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