… … …(記事全文3,676文字)本日,ようやく今年米国で一番話題の映画「Civil War」を見ました.
Civil Warとは「内戦」を意味する言葉で,子供の頃「南北戦争のことだよ」と学んだ言葉.
それが,現代において起こる,というのが,この映画の設定.
「19の州が合衆国から離脱しテキサス州とカリフォルニア州からなる「西部勢力」と連邦政府による内戦が勃発した近未来の米国を舞台に、ニューヨークから首都ワシントンD.C.へと向かう4人のジャーナリストを描く」
というもの.
一般にテキサスは共和党が強く,カリフォルニアは共和党が強いため,この「西部勢力」は必ずしも民主党や共和党を意味するものではありません(フロリダも協力しているという台詞がありましたが,フロリダは所謂スウィングステートですから,民主党か共和党かどちらか分かりません.
したがって,この西部勢力がなぜ,大統領と闘っているのかの詳しい設定は(大統領が三選を果たし,FBIを解散させる等の横暴が原因だというところまでは分かりますが),しっかりとは記述されていません.
おそらくは,この映画のテーマ自体が大変にセンシティブなものですから,封切りにあたっては,そのあたりに最新の注意を払って作られているものと思われます
が,この映画が全米で封切られたのが4月.(まだ,バイデン氏が大統領候補となっていた時期ではありますが)大統領選挙の投開票のおおよそ半年前の時期ですから,否が応でも,この設定は,トランプ率いる共和党と,バイデン/ハリス率いる民主党との戦いを想起させます.
実際,この映画は4月当時,二週にわたって興行収益全米第一をたたき出す大ヒット映画となっています.
それ程に今,アメリカ国内の民主党と共和党の分断は激化しているわけです.
では,この映画では描写されていないこの分断の背景にある「思想」は一体何なのでしょうか?
それを,思想的に一言で言うと,「理想主義」(idealism) と「現実主義」(realism)の対立です.
勿論,バイデン/ハリスの民主党が「理想主義」陣営で,トランプ率いる共和党が「現実主義」陣営という事になります.
しかし,トランプ自身は,おそらくはそういう思想的分類を意識しているわけではありません.
この問題について本日丁度,とあるところで駄文を書きましたので,下記に紹介差し上げたいと思います.
『 勿論,トランプは,以上に論じたような「理想主義から現実主義への転換」を思想的な深慮遠謀の下,推進しようとしているとは考えられない.
おそらくは,トランプ氏は,彼の「実務家」としての嗅覚に基づいて,今の時代の流れをつかみ取り,それを加速すべく,様々な政策を主張しているに過ぎないと言えるだろう.
しかし,そもそも「思想」にしろ「哲学」の根幹にあるいのは,そういう「嗅覚」なり「感覚」というものに過ぎない.
ただし,その思想なり哲学がより大きな実践的な「力」を獲得するには,そこには「論理」というものが極めて重要な効力を発揮する事になる.なぜなら論理なり理論なるものは、我々が世界を眺める時の「望遠鏡」であったり「顕微鏡」の役割を果たすものだからだ.
それは,音楽家の根幹にあるのは,…
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