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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【やらしちゃいけない!小泉進次郎総理大臣】(その3)米企業を利し日本を損ねる「ライドシェア」解禁論者を総裁に選ぶのなら,自民党は「売国政党」との譏りを免れ得ない

(1)「ライドシェア」という特殊な話にやたらと固執する奇妙な進次郎氏

総裁選の有力候補の1人である小泉進次郎氏は,出馬表明と同時に,高らかに宣言したのが「ライドシェアの完全解禁」だ.

 

彼が出馬会見で配った資料には「聖域無き規制改革」という大項目があるのだがその「一丁目一番地」に書かれているのがこのライドシェアだ.

 

ここで進次郎氏がイメージしているライドシェアというのは,ホテル業界における「民泊」と同様に,

 

「一般のドライバーが自分持ちのクルマを使って,タクシービジネスをする」

 

という,俗に「白タク」と呼ばれているものと同じだ.進次郎氏はこの「白タク」を日本でも全面解禁しようと声高に主張しているのだ.

 

総理になっていの一番にやるのが「白タクの全面解禁」だと鼻息荒く主張するというこの進次郎氏の態度に,違和感を持った方も少なくないだろう.

 

無論,彼がイメージしているのは,海外ではウーバーという大企業が展開している,スマホで予約等ができる“スマート”な白タクシステムであり,それを日本にも普及したいという素朴な話しだと理解することもできるし,彼自身が今,超党派のライドシェア勉強会の会長だから総理にやれば実現するのだと主張するのも理解できなくもない.しかしいくらなんでもこの程度の話が「改革の本丸」に位置づけられているのはかなり「異様」な状況だ.

 

例えば父親の小泉純一郎氏が改革の本丸に位置づけていた「郵政民営化」は,全国津々浦々に郵便・郵貯ネットワークを持つ郵政省という国の機関を丸々民営化しようという非常に大きな話で,そのスケール感においてスマホアプリを使った「白タクの解禁」の話とは雲泥の差がある.たとえば「ゆうちょ」の総資産は230兆円以上もである一方,タクシーマーケットは年間約1.6兆円程度に過ぎない.

 

だから進次郎氏がわざわざこんな「マイナー」なライドシェア解禁を「改革の本丸」に据えるのには,それなりの理由が必要だということとなろう.

 

そもそも彼は,記者会見で知能水準が低いと言われているが大丈夫かと質問された折り,自分の能力の低さを事実上認めながら「チームで対応する」と回答しているくらいだから,彼の政策は基本的に全て彼の「周りの人」が考えたものだ.

 

(2)ライドシェアが解禁されなければゴールドマンサックスは大赤字を出す事になる

だからライドシェア論も,進次郎氏の「周り」からの影響で,やたらと固執するに至ったと考える他ないのだが,その「周り」とは一体どのような勢力なのだろう? 

 

こう言うのを考えるにあたって重要となるのは,その改革をやれば誰が得をするのか,という大局的状況確認だ.

 

ライドシェアは先にも指摘したようにスマホアプリを使うことが前提なるシステムだが,そのアプリを提供しているのは,アメリカの「ウーバー」や中国の「ディディ」といったグローバル企業,あるいは,国内ならば,(タクシーアプリGOを提供している)「GO」株式会社が,その代表的企業だ.

 

とりわけこの「GO」株式会社を大株主として(持分法適用関連会社としているDeNAという企業であり,このDeNAに対して最も多くの資金を出資しているのが100億円の資金,ならびに社外取締役の双方を「供給」しているゴールドマンサックス社である.

https://www.bicp.jp/ny-report-backnumber/20230825

 

ところが,そのDeNAは現在,大赤字を出している状況にある.2021年5月期で約111億円の赤字を出している.

https://www.bicp.jp/ny-report-backnumber/20230825

その後もさらにその赤字は拡大し,2024年3月期の当期損益は「286億円超の赤字」となっている.

https://news.yahoo.co.jp/articles/180c2aeddfbafa4c61f09e74563dffc946d74882?page=1

 

つまりこのままでは,ゴールドマンサックスは100億の出資が「パー」になってしまいかねない状況となっているわけだ.

  

そこで今,DeNA(ならびに,その背後にいるゴールドマンサック)が狙っている「起死回生」が,ライドシェアの全面解禁なのだ.実際,下記記事では,もしも進次郎氏が総理になれば(彼らはこれを“もしトラ”ならぬ“もし進次郎”と表現している),ライドシェアが全面解禁され,DeNAの株価が上がるだろうという期待がマーケット関係者の間で一気に駆け巡っているというのだ.

https://news.yahoo.co.jp/articles/180c2aeddfbafa4c61f09e74563dffc946d74882?page=1

 

(3)進次郎氏はライドシェア全面解禁でボロ儲けができる人物と頻繁に接触している

以上の報道から見えるのは,次のような「ストーリー」だ.

『アメリカの巨大金融企業ゴールドマンサックスの意向を受けたDeNA/Go株式会社が,「政界」関係者(菅義偉氏/小泉進次郎氏等)にライドシェアの解禁を働きかけている』

 

実際,進次郎氏は,Go株式会社の…

… … …(記事全文4,372文字)
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