… … …(記事全文3,239文字)今,次期総裁選の有力候補として俄然注目を集めているのが,小泉進次郎氏だ.
テレビ等のメディア上のコメンテーター達の仲でも小泉推しの者は決して少なくない.その結果もあり,一般国民のみならず自民支持層からの人気も高く,菅義偉氏や森喜朗氏らの「古老」達からも支持されており,本命不在の次期総裁選における,最有力候補の一角と目されている.
しかし,小泉氏に対する「疑念の声」「不信の目」は根深いものがある.つまり,「小泉批判」,さらに言うなら「小泉嫌悪」の声は濃密に存在しているのである
とりわけ,インターネット世論においては,小泉氏は既に「オワコン」と目される立場にまで堕落している.
最近では,都知事選で一時取り沙汰された「石丸構文」にあわせて「小泉構文」が話題となり,その中身のないエンプティさがネット民のみならず様々に取り上げられたのは記憶に新しい.
例えば環境政策を「Cool」「Sexy」と評したり,報道番組でのCO2の削減目標についての迷言「おぼろげながら浮かんできた」発言,さらには,「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」という完璧なる意味不明発言等が「小泉構文」の典型例だ.
要するに,ある程度の政治についての情報を持っている世論層においては,テレビにおいて存在しているかの様に言われている「小泉人気」というものはそもそも既に存在しておらず,むしろ小泉批判/小泉嫌悪の論調が支配的なのである.
この点は,永田町の政治を知り尽くした政治記者達における評価を見れば一目瞭然だ.
例えば,2022年月刊「文藝春秋」2月号の記事「政治記者123人が選んだ『次の総理、5年後の総理』」の仲に,小泉進次郎氏の名前は一切出てこなかったのだ.この記事には…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)