… … …(記事全文3,482文字)南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発令されました.
これはいわば,南海トラフ地震“予報”における“注意報”と言うべきものです.
気象庁は,2019年から,南海トラフ地震が発生するリスクがある程度に達すれば“注意”(いわば注意報)を出し,それを上回るある水準以上となれば“警戒”(いわば警報)を出す,という特定の基準を設けています.
で,今回ははじめて,その基準に合致する状態になったため,“注意”が出されたという次第.
気象庁は今,南海トラフ地震が発生する確率が普段よりも非常に高くなっているので「注意しながら,日乗の生活を続けて下さい」という主旨のメッセージを発信しています.
この“注意報”を受けて,例えば東海道新幹線は特定区間にて「速度を落として運行」という対応を図っています.
当方,本日は京都から東京に日帰りで移動したのですが,そのあおりをうけて,双方とも新幹線が遅れてしまい,当方が代表理事のとある法人の「総会」(当方が代表理事だということで司会をしなければなりません)に遅刻しそうになり,そして今まさに,夕方の某TV番組出演のための予定時刻に遅参してしまうことになってしまいました.
まぁ,当方の場合はいずれの遅刻も大事に至ることなくやり過ごせてはいますが,そうでない方もたくさんおられたことでしょう.
JRとしては,一応政府が「南トラ注意報」を出してるのだから,何もしないわけにはいかず,一応対応をとっておこう…ということなのだと思いますが,果たしてこの対応が合理的かどうかというとなかなか微妙ですよね.
もしホントに南トラが起こってしまったのなら,特定区間だけ速度を落としていたところで,それがどれだけの効果があるのかといえば,殆どあるようには思えないから,です.
かといって,注意報がでてるからっていうことで,全区間で遅くしたり,全線運休にするっていうのもやり過ぎだし,かといって(先にも申し上げたように)何もしないのもマズいかも,っていうことで,こういう運用に落ち着いたのでしょう.
極めて日本的な「過剰反応」の一つだと言えそうです.
そんな風に感じながら,この注意に関するニュースをあれこれ見ていて,やっぱ,日本ってダメな国だなぁ…と感ずる違和感をそこかしこで感じてしまいます.
例えば,あるニュースで,地震の専門家が次のようなことを言ってました.
今回,「注意」となったのは,日向灘の南海トラフ地震の想定震源域でM7以上の地震が起こったから…なのですが……
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)