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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【映画「スラムダンク」を通して見える現代日本の構造】政界財界中枢は激しく腐敗した.しかし日本全国には未だに「スラムダンク」な素晴らしい時間が膨大に残されている.

ネットでスラムダンクが見れるようになってますよ,という話しを小耳に挟み,映画館でやっている頃から観に行きたいと思いながら行きそびれていたこともあり,おくればせながら昨夜,視聴してみました.

 

ご覧になった方もおられると思いますが…素晴らしいの一言,でした.

 

何と言っても大学に入ってからのこの四十年近く,殆ど思い出す事等何もなかったのですが,中学,高校とクラブでバスケをやっていた頃のことを,文字通り,鮮明,に思い出しました.

 

中学の時も高校の時も全く強いチームではありませんでしたが,中学の時はキャプテンとして,高校の時は副キャプテンとして,試験前一週間を除くと3年生の引退試合まで基本毎日,練習に勤しんでいたのでした.

 

とりわけ僕の中学は進学校でも何でも無い普通の中学でしたから,それなりに厳しい練習をやり,キャプテンとして,チーム全体をとりまとめ,何とか強くなろうとがんばっていました.

 

そんな中でもまるで昨日のことのように思い出したのが,当方が中学三年生の時の引退試合.

 

今からちょうど40年前(!)となる中三の夏,負ければ引退となる最後の奈良県大会で,あたったのが同じ地元生駒の強豪中学.今まで一度も勝った事の無い強いチームだったのですが,決まった以上,全力でやるしかない…ということで,精も魂も全て使い果たすつもりで試合に臨んだのでした.

 

このスラムダンクの映画もまた,3年生の赤木や木暮にとっては負ければ引退となる強豪山王との戦いを描いたものですが,スケールがまるで違うとは言え,それが当方の引退試合と重なって思い出されたわけです.

 

当方は中学,高校共にセンター(ゴールしたの赤木役のポジションですね)でしたが,その引退試合の相手のセンターのこともよく覚えています.坊主頭の体中ニキビだらけの当方よりもデカい奴で,こいつにマークされ,なかなかシュートが決まらず,随分と焦っていたのでした.

 

そんな中,味方のシュートのリバウンドをとろうとして大きくジャンプし,左足で着地しようとしたとき,運悪く当方のその左足が相手のバスケシューズの上に乗っかってしまい,左足を激しくくじいてしまったのでした.

 

途轍もない激痛でしばらく立ち上がれなくなってしまい,残念ながら当方,そこで試合にでれなくなり,あえなく交代となってしまったのでした(ちなみにその時の捻挫は今も後遺症がある程酷いモノで,左足が今も捻挫しやすいクセが付いてしまっております.で,その左足を捻挫する度に,その時のことを思い起こします).

 

後はベンチで,味方に指示を出すだけになったのですが,誠に残念ながら,メインポイントゲッターであった当方の不在で,そのまま負けてしまう結果となりました.

 

悔しくて試合後に泣いたのを覚えています.

 

またその後,いつだったか忘れましたが,顧問の先生と久しぶりに話してる時,「あんとき,お前が足くじいて交代になったから,あの試合,負けたんや」と言われたことを今,思い出しました.

 

試合に負けたのもさることながら,精根使い果たす積リで試合に臨んでいるのに,怪我による途中欠場で完全に不完全燃焼のまま引退となってしまったのが,さらに悔しい思いをしたのでした.

 

…そんなほろ苦い思い出のある当方でしたから,(ネタバレになりますから,何も申ししませんがw)あのスラムダンクのラストシーンには感慨がひとしおだったのです.

 

そして,心底「中学の時,毎日バスケやってて,良かったな…」と思ったのでした.

 

そして強烈にまた,あの頃みたいにバスケがやりたい,と思いました.あれから40年,身体もなまりまくってますからコートを走り回ることなんて今では全くできませんが,ちょっと鍛え直せばまだまだできるんじゃないか…何てことを思ったりしましたw

 

日本の中高では,子供達の多くがバスケなり野球なりバレーなりハンドボールなり何なりといったスポーツのクラブに入り,相当な時間をそれぞれのスポーツに費やしています.

 

勉強だけじゃなく身体を鍛える,という意味があることもさることながら…

… … …(記事全文3,541文字)
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