… … …(記事全文3,022文字)只今当方、とある交通の学会で宇都宮に参上しています。宇都宮は先月、日本ではじめて本格的なLRT(ライトレイルウェイトランジット)システムが導入されたまち。このLRT整備を記念して、モビリティ・マネジメント会議なるまちや地域の交通を考える会議を開催することといたした次第です。
一方で、昨日、昨年京都に3ヶ月滞在されていた、MMT・現代貨幣理論の提唱者であられるオーストラリアの経済学者、ビルミッチェル教授が、昨日より、来日されました!
ミッチェルさんとは、昨年の対談した内容を和訳した日本語書籍を今準備しているのですが、その最後に、最新のデータを紹介する原稿をつけて、11月には出版し、ミッチェルさんがいる間にシンポジウムをやることを考えています。
書籍タイトルは、
『インフレ時代の財政論 ~日本への提言~』
で、発売予定日は、
11月16日
で、そのシンポジウムの日時場所は
『インフレ時代の財政論 ~日本への提言~』出版記念シンポジウム
日時: 11月17日 午後7時頃~
場所: 東京都内
登壇者:ビルミッチェル & 藤井聡
つまり、出版日の翌日に開催予定している、という次第。
で、そのシンポと出版に間に合わせるべく、営為原稿を書いているのですが…今回追加でまとめている原稿の冒頭部分、皆様にご紹介差し上げます。
日本経済の現状と処方箋をまとめる予定です。是非、冒頭だけでも是非、ご一読ください!
『インフレ時代の財政論 ~日本への提言~』
ミッチェル教授と対談をしたのが2022年の11月。あのとき、我々は日本経済について次のように論じていた。
ミッチェル教授:長期で見た経済の基礎的条件は、依然としてデフレに傾いています。現在は一時的なインフレ要因によって覆い隠されている、もしくは相殺されているだけです。こうした傾向の下では、OPECが原油の供給を増やせば価格はすぐに低下しますし、コロナ禍によるサプライチェーンの問題が収まれば……。
藤井:その時には再びデフレ圧力に直面するだろうということですね。
ミッチェル:そこが重要なポイントです。言い換えれば、日本が置かれているデフレという状況と、現在短期的に経験しているインフレの状況は矛盾しないのです。
つまり当時我々は、日本の基礎的な成長力は全く脆弱なものであって、表面的に物価高の「インフレ」に見えていたとしても、経済状況全体は、消費も投資も低迷する「デフレ」状況であり続けるだろう、と予測していたわけである。
はたして我々の予想は当たったのか外れたのか。
まず、今日のインフレ率を確認してみよう…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)