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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

皆さんこんにちは、言論誌「表現者クライテリオン」編集長で、京都大学大学院の藤井聡です。

当方は、大学で勤務する傍ら、政府・行政関係やテレビや雑誌などのメディアの仕事に従事していますが、このメルマガでは、普段のラジオやテレビや雑誌等では、諸般の事情(!)でお話ししきれない内容を、会員の方限定で「ほぼ毎日」、配信していくというもの。

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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
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「安倍元総理・国葬儀」は一体、如何なるものだったのか? ~武道館からの一報告~

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本日午後2時から開催されました安倍元総理の国葬儀に、元内閣官房参与として参列いたして参りました。何よりもまず、納骨される直前の安倍さんのお骨に献花差し上げ、手を合わせる機会を頂くことができたのは、当方個人として、大変に有り難く感じました。こういう機会を頂けましたことについて、関係各位に、心より深謝の意を表したいと思います。

ただし、この度の参列は、思う所の実に多いものとなりました。

まず、当方はじめ、参列者の多くが行った「荼毘に付された故人のお骨に手をあわせる」という行為は明確に「仏」に対する行為ですから、仏教的宗教行為と言わざるを得ないものなのですが、この度の国葬は、形式上は仏式でも神道でもない「無宗教」の体裁で執り行われました。

政教分離ということなのだからしょうがないのだとは思いますが、何とも言えない不自然さを禁じ得なかった方は決して少なくは無かったのではないかと思います。

そもそも、先日執り行われたイギリスの国葬はイギリス国教会が取り仕切るものでしたが、この我が国の国葬では、宗教ともしたがって葬儀という儀式とは全く無縁の電通が、国家宗教組織の「代わり」に取り仕切りました。ですから、そうした不自然さが拭えないのも必然的だったとも言えるでしょう。

安倍さんのお骨が据えられたの祭壇は「宗教的理念」で作られたものでなく、その「代わり」に、無い安倍さんの生前の「政治信条」を象徴するものとして作られました。

葬儀の冒頭では、結婚式の際に新郎新婦を紹介するため等に昨今では頻繁に使用される様になった「ビデオ動画」が活用され、生前の安倍内閣の成果が紹介されました(電通は、安倍さんは偉大な総理だったのだ、と思わせよう思わせようとしている、という意図が見え見えでしたが、当方には全くそのように思えませんでした)。なお、その動画のBGMには、安倍さんのピアノ演奏が使われました(これについては、安倍さんの生前お”お茶目さ”が垣間見えたということで、安倍さんの一人の友人として懐かしく嬉しく感じました。が、それが国葬に相応しいか否かは甚だ疑問にも感じました)。

そして一般的な葬儀の際には僧侶のお経が唱えられますが、その「代わり」に、三権の長(総理大臣、衆参両院議長、最高裁判長長官)、ならびに「友人代表」のお別れの言葉が捧げられました。

また、お骨到着の折りや黙祷の折り、ならびに国歌斉唱をはじめとした数々の音楽には、自衛官達が号令や演奏が終始活用されました。ただし、本来なら、英国の国葬と同様、「軍隊有らざる自衛隊」ではなく「国軍」がその任に当たるべきとろではあります。が、国軍無き日本では、その「代わり」に自衛隊がその任に当たったわけです。

このように、宗教組織の「代わり」に電通が仕切り、祭壇は宗教的理念の「代わり」に故人の政治理念が活用され、故人には宗教的経文の「代わりに」お別れの言葉が捧げられ、国軍が為すべき任を国軍のの「代わり」に自衛隊が担う、という格好で、何もかも、「無宗教の平和国家」の体裁を整えるためにホンモノが活用されず、その「代替物」(有り体に言えば、紛い物)が活用される格好で、国葬が進められていったわけです。

そんな「紛い物」の最大の象徴が、葬儀委員長であり、かつ、この国葬儀を政治決定した当の本人の岸田総理の追悼の辞。

あの言葉を聞いて心が動かされた参列者は、ひょっとすると、あの武道館にはただの一人も居なかったのではないかと思える程に、中身のない、ペラペラの白々しいものでした。

それは、衆参両院の議長や最高裁判長長官の追悼の辞が、大変に「立派」なものであったことと対照的であると同時に、友人代表の菅元総理のお別れの言葉が、(当方も無言で嗚咽してしまう程に、そして、お別れの言葉としては至って例外的な万雷の拍手が直後に自然と巻き起こる程に)文字通りこころの籠もった素晴らしいものであったこととも全く対照的でした。

ただし……一般参列者の献花の前に、天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下の名代が拝礼され、秋篠宮皇嗣以下の皇室の皆様方が供花されたことで、ようやくこの儀式が紛う事なき「日本国の国葬儀」であるという認識をギリギリ持つ事が出来るようになったように感じました。

我が国はやはり、皇室以外に、諸外国に誇れる“ホンモノ”(あるいは、関西弁で言うところの「ホンマもん」)は無いのだと……改めて感じた次第です。

しかも、天皇皇后、上皇上皇后の各陛下は直接ご臨席なさらず、名代を遣わされたということで、この国葬が単なる俗物であると外国から仮に見下されることがあったとしても、その遙か上に、我が国の権威があるのだということを暗示しうることが可能となった……という点でも、皇室のこの国葬に対する関わり方は素晴らしいものであったとも感じました。

すなわち、一言で総括するなら、紛い物政治家である岸田文雄が俗物根性の発露として決めてしまった国葬それ自身は、単なる俗物になっても何ら不思議ではない代物に堕してしまい兼ねぬことろであったところ、本物中の本物である皇室のお陰で、諸外国から見てもさして恥ずかしくない物としてやり終えることができ、どうにか”国葬”としての体裁が整ったものと、感じました。

かくして、今回の国葬は、「皇室以外の我が国」はとめどなく俗悪な紛い物に堕落してしまっていることを、そしてその象徴としてかの岸田文雄という人物が総理大臣の任についてしまっているということを改めて深く再認識させられてしまうものであると同時に、(かつて三島がそう主張した様に)「皇室」こそが、我が国の俗悪に抗う「最後のアンチ」としての唯一の聖なる存在となっているのだ――ということをやはり改めて認識させるものであったと感じた次第です。

その皇室そのものも今、まさにその、皇統のみならず家風・家柄の持続性が危ぶまれている以上―――日本が日本で無くなる日は、もうすぐそこまで来ていると言わざるを得ないのだろう―――ということもまた、武道館からの帰路に改めて感じました。

……当方としては以上の様な印象、感想は至って普通であり、誰もが同じような印象、感想を持って帰路についたのではないかと思うのですが……参列者の面々(竹中平蔵氏や大田弘子氏らをはじめとした内閣関係の民間委員達や官邸官僚達の面々)を見るにつけ、そんな印象を持った参列者は、やはり殆ど居なかったのではないかとも……感じた次第です。

ホントに、哀しい話しですが、恐らくは、それが今、現在の日本の実情なのでしょう……。

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