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板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~

板垣英憲(政治評論家)

板垣英憲

「転倒・転落」死亡者数は交通事故死亡者数の3倍以上。居室内の「転倒・転落」事故では救急対応は難しいのが現状。日本の超高齢化社会の慣れの果ては、家のなかで野垂れ死んでいく世の中のようだ

「転倒・転落」死亡者数は交通事故死亡者数の3倍以上。居室内の「転倒・転落」事故では救急対応は難しいのが現状。日本の超高齢化社会の慣れの果ては、家のなかで野垂れ死んでいく世の中のようだ

◆〔特別情報1〕
 現在放映中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」の主題歌「笑ったり転んだり」(ハンバート ハンバート)の歌詞は、現代の世相を象徴しているようで、朝からどうにも頭から離れない。「日に日に世界が悪くなる」の歌い出しで始まり、途中「野垂れ死ぬかもしれないね」の一説に、もしかしたら多くの高齢者が身につまされて聴いているのではないかと思えてくる。
 政治の世界は、SNS選挙の台頭により、超高齢化社会でありながら高齢者を取り巻く問題はすっかり置き去りにされてしまっている。現実問題として、高齢者は選挙に行くことが困難になりつつあり、政治家にとっては選挙の票のあてにならないためかのか、深刻な問題でありながら放置されつつあるといっていい。
 「高齢化問題」は「少子高齢化」といって「少子化問題」セットで議論されてきたにも関わらず、ここへきて少子化対策には多くの予算をつけながら、高齢化対策はどんどん手薄になっていくように感じられる。問題を抱えている高齢者が、もはや体力の衰えにより声を挙げることすらできなくなってきているからだろう。
そうしたなか、読売新聞は11月30日、「介護現場の死傷事故をDB化…厚労省27年度から、再発防止へ活用」という見出しをつけて次のように報道した。
《厚生労働省は2027年度から、介護現場で起きた死傷事故の件数や概要を収集・公開するデータベース(DB)を導入する方針を固めた。特別養護老人ホームなど全国すべての介護施設や事業所などを対象に事故の情報を把握し、分析結果を共有することで重大事故の発生を防ぐ狙いがある。
 (中略)
厚労省が新たにつくる「事故情報統計DB」(仮称)では、〈1〉歩行中の転倒やベッドからの転落、食べ物が気管に入る誤嚥(ごえん)といった事故の内容〈2〉居室や浴室といった発生場所〈3〉本人の要介護度や認知症の有無――を収集。介護施設や事業所の職員が専用サイトを通じて登録する仕組みを想定している。死亡や入院に至る重大事故だけでなく、軽微な事故も対象とするかは今後、検討していく。》
ようやく高齢者の問題に目を向けたということで前向きにこの記事を取り上げたわけではない。この「事故情報統計DB」(仮称)は、介護施設や事業所などを対象に事故に限定されており、在宅での事故は含まれない。いうまでもないことかもしれないが、歩行中の「転倒」であれ、ベッドからの「転倒」でれ、「転倒」は「事故」なのだ。ベッドからの「転倒」は、ベッドの高さによっては「転落」になる場合もあるだろう。
高齢者の場合、転倒事故が命取りになる場合も少なくない。テレ朝は12月3日、「“転倒する人”12月に急増 死亡者は…交通事故の“3倍”」という見出しをつけ次のように報道した。
「『転倒・転落』などで亡くなった人は全国で1万1953人にも上ります。交通事故での死亡者数の3倍以上です。」また、「高齢者の場合は骨折するなどして介護が必要になるケースも。」とも。

… … …(記事全文7,793文字)
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