… … …(記事全文7,544文字)医療費高騰が国家財政を圧迫するなか、AIによるブレイクスルーで「ドラッグリポジショニング」が医療費抑制の救世主になり得るか。しかし容易な話ではない。障壁はひとつは国が定める薬価の仕組みにあるという
◆〔特別情報1〕
桑子真帆キャスターによる「その薬、もしかしたら別の病気を治す可能性があるかもしれません」の言葉で始まった2025年8月27日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「解熱鎮痛薬で大腸がん予防!? AIで進む“既存薬革命”」と題し、「既存薬」に新たな効能を見いだす“ドラッグリポジショニングを取り上げていた。筆者にとっても身近な問題であり、非常に興味深く見応えがあったことから、拙記事でも触れてみたいと考えた。
番組ホームページでは以下のように概要が記されている。
「日本人が多く罹患する大腸がんを、すでにある解熱鎮痛薬で予防!?「既存薬」に新たな効能を見いだす“ドラッグリポジショニング”がいま急速に進化し全国各地で臨床研究が行われている。背景のひとつがAIなどの技術進化。ノーベル化学賞受賞で注目されたAI・アルファフォールドを使った研究では驚きの結果も出ている。しかし薬価制度などが壁となり患者に届かない事態も。私たちが病気になったときに使えるようにするには?」
ドラッグリポシショニングとは、「薬の再配置」という意味だそうだ。冒頭では、未承認ながら2つの例が挙げられた。ひとつは、パーキンソン病に使われていた薬がアルツハイマー病に効く可能性、続いて鎮痛剤のアスピリンが大腸がんの予防になる可能性である。このアスピリンについては、臨床研究に参加されている患者さんと担当医の診察の様子が映し出されていた。
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