━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 板垣英憲（いたがきえいけん）情報局 ～マスコミに出ない政治経済の裏話～ 2021年12月18日 ◆─── - - - - - - - - ───◆ 世界の政治・軍事・経済・金融を支配するパワーエリートの動きやその底流で 行われている様々な仕掛けなどを中心に、重要情報(特ダネ)をキャッチして速 報する。 政治評論家 板垣英憲 ◆─── - - - - - - - - ───◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆「猶太思想及運動」〈下〉四王天延孝陸軍中将著 附録第二 英＝猶帝國主義の秘密政治機関と見られるフリーメーソン 四、英國フリーメーソンの紋章はユダヤ式で、一ユダヤ人の考案に成る（挿圖）―２ ─────────────────────────────────── 吾々の對話を書くことは除り長くなるから、それから先の話を要記して見ることにする。 巴里を去ったこの未来の英傑、このドンキホーテ、この人類愛運動の勇士はジブラルタルに戻って西班牙（スペイン）政府に對して砲門を向け、カデイツクス事件を用意したのである。彼は總督を暗殺した二人の犯人は直接知つてゐる奴だと告白した。彼はその名を拳げなかったが彼自身かその一人だと誇るのではないかと心待ちに聞いてゐた。彼はジブラルタルとカデイツクスの間を幾度か冒瞼旅行して西班牙（スペイン）の解放派の人々に如何にして國外に脱出してアフリカか英國に渡るべきかを教へた。そればかりではなく、彼はクリスピンかフイガロからの堂々たる旅行をしてトリジヨスの為に英國巡洋艦アクテオンの艦長グレー大佐を編ました。有名なトリジヨスと云ふ男は西班牙（スペイン）革命の發頭人の一人で政府が彼一人を恐れることは、叛徒全体と同じ位と云はれる程であった。 彼は總督暗殺後急にジブラルタルに逃避することに決したが遂にレオン島に着いた。西班牙（スペイン）の捜査隊はハンニバルの様な人道主義犯人を追跡して英國人の家迄調べた。英人達は西班牙（スペイン）警察の重んずる形容詞を用ゐてこの反徒、暴徒、王への裏切者の引渡しを頑強に拒絶した。然るにそうなるとジブラルタルに閉ぢ込められた英國将校等は大陸と交通遮断をされそうになることを恐れて稍（やや）妥協的になって来た。ジブラルタルの英植民地の人々や守備兵は一切西班牙（スペイン）領土への大國を許さないことにしたので全部が捕虜の様になつた。ジブラルタル總督はそこで下た手に出て、トリジヨスを放逐してマルタ島にやる約束をし、かくてカデイツクス、セヴイルの王党政権の八釜しい叫を緩和しようとした。結局英、西両側話し合の結果グレー艦長がトリジヨスをマルタ島に護送する役を引受けた。この報導を聞いた英人の家族達はこゝ数年は西班牙側との交通遮断を覚悟してゐたのでホット一息ついた。〔註 百年後に起った天津に於ける英租界封鎖の事情と相通ずるものがある〕陸路はカデイツクス總督の死後から四ヶ月も閉鎖されてゐたのだから、西班牙（スペイン）の脱走者達がジブラルタルから追ひ出される迄は再會することは出来ない筈であった。トリジョスが出発する時には西班牙のアルジエシラスの官憲は凱歌を拳げ祝賀の使者は右往左往に行き交ふた。ジブラルタルの總督も西王フェルヂナンドに自己の謙譲の態度を認めさせる為、王の敵を放逐したと云ふ手紙を出した。ジブラルタルに居た西班牙領事もその事實を認めた報告を出した。ジブラルタルと西班牙（スペイン）との交通はすぐ恢復した。両國民は先を争って巡洋艦アクテオンの出港を祝つた、今迄の船の出帆の時に、かく海岸に歓聾（かんせい）の上ることは無かった、愈（いよいよ）抜錨（ばっぴょう）すると人々は重荷を卸した気分になった。英西両國民は鎖で縛られてゐたのであつて、アクテオン艦が出港の為錨（いかり）を捲くことは鉄鎖を断ち切る様な気がしたであろう。 扨（さて）このアクテオン艦は果して誰を載せて行つたろうか、トリジヨスか……謎を解かうではないか、軍艦が運び出しだのは英國青年士官が使って居た手下の者が誤って入れて仕舞った何も知らない冤罪者であった。常に總ての政治犯を拵へる人が、スペイン政府から恐れられてゐた勇者に可なり善く似た人相を持ち、又替へ玉族行などに相当適任の人を見附けた。ジブラルタル巡査は半ば買収され、半ば共鳴し、半ば誘惑され脅迫されて、眞犯人が家から出て港まで行く間にすり替へられるのを見逃がした、そして眞犯人は平然家に帰つて匿れて居るし、偽物も亦平気でアクテオン艦上の族を続けたのである。マルタ島に着くと偽物はグレー大佐に狂言の報告をするであろうが、艦長は悪くは扱ふまい。唯ジブラルタルにこの政事的の誤魔化し仕事を報告するだろう。此の報一び西班牙に廣がるとそれから騒々しくなるが、その頃トリジヨスは別の反乱隊を指揮して警察の手配を尻目に地方を暴らし廻はるであろう、或は死んでゐるか単純にジブラルタルに匿れて居て見当らないか之等（これら）は神様丈御承知のことになるであろう。茲（ここ）には今迄あった事実を述べたのであるが之は思ふに無益のことでは無かつたろう。 その奇怪な英人は陰謀咄（ばなし）で自分を退屈させなかったが、旅行の目的をも打明けた、彼はタンジエルに行つて西班牙同志の為にモロツコ國王の援助を願ひに行くのであった。それを冗談と嘲けらずに聞かれたい、事實はこうだ、フェルヂナンド王の人民でルミと云ふのが西班牙（スペイン）警察の有らゆる捜査を免れ、艱苦と危瞼を突破してモロッコ王の船で欧羅巴（ヨーロッパ）から脱出できた。船の乗組員は莫大な金力のお蔭で彼を歓迎した、彼は之で大丈夫と思った。然るに西班牙（スペイン）人は海岸まで追ひ詰めて来た上、船の上甲板までも上り、萬國公法にはお構ひなしに強力を以て取押へて行った。それからグルナードに移されてやがて殺されそうである。熱心な自由主義の英人は今度トリジヨスを誤魔化さなかった。そのトリジヨスがタンヂユに赴いて人類愛に燃ゆる西班牙（スペイン）革命家の一人が今や死に頻してゐることを回教徒の其地方の總督バシヤに訴へ、モロツコ王の権力を発動してその生命を救はんとするので、海賊船は今之に保護を血與ヘてゐるのだ。人の知る如く阿弗利加（アフリカ）北岸のモール人等は人命には余り重きを置かないし、吾々もアフリカ君主に願ふ熱狂的英國青年の任務をも尊重出来ない。ジブラルタルの海峡が右の様な活発な陰謀の巣窟となり、政治的燎原の火元となって他日両大陸を炎で輝かしめる様なことが考へられたであろうか、自分としては此の旅行間にはそんな革命の苦労などゝは全く別の事を考へる積りであったのだ、自分はアフリカ海岸に、今日まで自分が好んで否認して来た秘密政権などが存在すると云ふ的確な証拠を発見しようとは思ひも寄らなかったのである。 英人ボイド君の従者は主人よりも一層不安そうに見えた、主人のピストルに弾丸を込めて船室近くを行きつ戻りつしてゐた。そして時々、且つ長く船長と低語した。陸地の方から何か物音がすると蒼くなるのが目につくが、吾々の提灯の薄い光で何か変つた物が見える時には一層蒼くなり方がひどかった。その男は西班牙（スペイン）の水夫で、英語を話した、此の六ケ敷ひ旅行中主従の間に色々な機會に交はす言葉を盗み聞きゝをしてゐると、この獰猛な面構への、シヤガレ聾の、皮膚の厚い赤焼けした、西班牙（スペイン）人通有の小さいキヤシヤな併し荒い、黒い、筋張った手を持た男はカデイフクス總督暗殺犯人の一人に相違無いと思はされた。吾々は此の船中で奇しくも、此の國で当代稀に見る大政治犯の首謀者及賓行者と同船して居るのであつた。自分はその英人に嫌悪を感じて遠ざかって終った。』… … …（記事全文3,768文字）
