□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月9日第529号 ■ ============================================================= 見過ごされる萩生田官房副長官の重大な憲法9条違反発言 ============================================================= ついに米韓が高高度迎撃ミサイル(THAAD=サード)を韓国内の米軍基地に配備する事で合意した。 これ以上ない攻撃的兵器の設置だ。 この事は、ほぼ時を同じくして発表された金正恩らに対する制裁強化とあいまって、北朝鮮に対する宣戦布告のようなものだ。 しかもサードは北朝鮮のミサイル迎撃だけが目的ではない。 中国の軍事動向に対する情報監視であり威嚇だ。 当然中国は「強烈な不満と断固とした反対」を示した。 そして、サードを認めた韓国と中国の関係は対立する。 だからこそ韓国はためらっていたが、その韓国を恫喝してまで米国は設置を急いだという(7月9日読売)。 あきらかなアジア分断作戦だ。 このサードという兵器が、これ以上ない攻撃的な最新兵器であることは軍事に素人の者でもわかる。 そして、それを北朝鮮と中国に隣接する韓国に設置することは、これ以上ない北朝鮮と中国に対する軍事威嚇である事も、誰でもわかる事だ。 つまり、この米国の韓国内サード設置は、日本の憲法9条の精神に明らかに違反した行動だ。 しかし、安倍自公政権のスポークスマンである萩生田副官房長官は7月8日の記者会見でなんと言ったか。 韓国は戦略的利益を共有する重要な隣国だとした上で、これを支持すると言ったのだ。 同じ隣国でも北朝鮮と中国は敵であり、共通の敵を威嚇する軍事行動を支持すると言ったのだ。 これ以上ない憲法9条違反発言である。 そして、これは萩生田副官房長官の個人的意見ではない。 安倍自公政権の政策的発言なのである。 しかし、この、明らかな憲法9条違反発言に対する批判の声は、野党はもとより、識者からも、国民からも、皆無だ。 もちろん記者会見に出席していた記者からの質問はゼロだ。 今度の参院選の主要な争点の一つが、「安倍自公政権に三分の二の犠牲を与えて改憲させてはいけない」だ。 しかし、現実の我が国の外交・安保政策は、とっくに憲法9条違反をおかしている。 しかも、単に巻き込まれるだけではなく、攻撃的すらある。 もはや「憲法9条を変えさない」だけでは不十分である。 そして、「憲法9条を変えさせない」と叫ぶことは容易でも、米国の命令に逆らえない韓国同様、日米同盟を最優先する日本のままでは、憲法9条違反の外交・安保政策を変えさせることは出来ない。 辺野古にあらたな米軍基地をつくらせないことすらおぼつかないことがそれを証明している・ いま国民的議論をしなければ一番重要な事は、国民の手の届かないところでますます危険な方向に加速しつつある我が国の外交・安保政策なのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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