□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月1日第512号 ■ ============================================================= 「横浜事件」の国賠を認めなかった東京地裁の判決に思う ============================================================= 私は6月26日のメルマガ第499号で書いた。 6月30日に下される「横浜事件」国賠訴訟の判決に注目すると。 戦時中に行われた国家権力による最悪の言論弾圧と言われる横浜事件について、裁判所は事実上冤罪を認めながら、再審請求をしりぞけて免訴にして終わらせた。 そのような裁判所には、せめて国家賠償を全面的に認め、被告の名誉回復に報わなければいけない、そう私は思うからだ。 そして、予定通り6月30日に東京地裁の判決が下された。 それを報じるきょう7月1日の各紙の報道を見て驚いた。 判決は、当時の特高警察による拷問などによる自白強要を違法行為だと認め、それを知りながら、証拠隠滅までして有罪判決を下した当時の検察官、裁判官もまた違法行為を働いた事を認めながら、当時はまだ国に賠償責任を負わせる法律がなかった事を理由に、国の賠償を認めなかった。 こんな判決が許されていいのだろうか。 百歩譲って法律的根拠がなかったから国家賠償出来ないというのなら、なぜ判決に書かなかったのか。 法律上は国家賠償できないが、これは政治判断の問題である。政治は可及的速やかにこの事件に対する国家賠償を行う法的根拠を整えて、原告の要求に応えるべきである、と。 なぜ、判決文の中でそう書かなかったのか。 国家権力に不利になる判決を書けば出世に響くと裁判官が考えたのだろう。 しかし、それは間違った思い込みだ。 当時の国家権力の誤りを認めて国家賠償を命じることは、決して今の国家権力にとって不利な事ではない。 むしろ逆だ。 私が安倍首相なら、この東京地裁の判決を見て、それでは国家賠償できる法的整備を至急行えと、命じるだろう。 そうすれば国民の拍手喝采は間違いない。 「国家権力に逆らうから国賠を認める判決は書けない」ということではない。 「国家権力に逆らうと思い込んで国賠を認める判決を書かない」だけなのではないか。 裁判所が絶望的なのは、万事ことなかれ主義になってしまっているからだ。 保身というより正しい判決を書こうとする勇気がないだけだ。 単なる怠慢でしかない。 これこそが今の日本を覆っている空気に違いないと私は思うのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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