□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年4月25日第342号 ■ ============================================================== 広島訪問のリハーサルだったオバマのアルゼンチン訪問 ============================================================== きょう4月25日の朝日新聞「ここに注目」という記事でブエノスアイレス発五十嵐大介記者が書いていた。 その記事は3月24日に行われたオバマ大統領のアルゼンチン訪問について書いた要旨次のような記事だ。 すなわち40年前の1976年3月24日、アルゼンチンでクーデターが起き、軍事政権による左翼活動家の弾圧が始まった。約3万人の市民が殺されたり、行方不明になった。 この事件は米政府が弾圧を支援したとされ、川には拉致された人が飛行機から投げ落とされた。 オバマ大統領は、今回のアルゼンチン訪問で、謝罪こそしなかったものの米国大統領として当時の米国政府の対応の不備を認めた。 これに対して、地元では強い反発が起きた。 「米国が弾圧を推進し、拷問の仕方を教えた。オバマがこんな日に来るなんて挑戦的だ」と、大規模な怒りのデモが起きた。 そういう記事だ。 私はこの記事を読んでピンと来た。 そういえばアルゼンチン訪問の直前にオバマ大統領はキューバを訪問した。 そしてその時もそうだった。 キューバとの国交断絶の誤りを認めるかわりに未来志向を強調した。 これを要するに、オバマ大統領は、キューバ訪問、アルゼンチン訪問をへて、広島を訪問する事を決めていたのではないか。 米国大統領としての最後の年に、歴史に名を遺す大統領になるつもりで準備を進めて来たのではないのか。 米国外交の負の遺産の地を訪れ、暗黙のうちに米外交の過ちを認める。 しかし、決して明確な謝罪はしない。 虫がよすぎるではないか。 そういってキューバのカストロ前議長がオバマ大統領を批判した。 ブエノスアイレスの市民は憤り、アルゼンチンのジャーナリストは「起きた事の歴史的な認識は変わらない」と書いた。 オバマ大統領の広島訪問の時はどうだろう。 私は、キューバ訪問やアルゼンチン訪問の時とは違って、日本政府はもとより、日本国民もメディアも歓迎一色になると思う。 そして、それはそれでいいのではないのか。 対米従属でいいと言っているのではない。 日本国民がおとなしいからだと言っているのではない。 それが日本のよさだと考えたい。 そう考えるのは、冷酷な国際政治の現実のなかでは人が良すぎるということになるのだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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