□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年2月28日第183号 ■ ============================================================== 空振りに終わった安倍首相のG20における中国たたき ============================================================== G20が終わった。 その評価を書くのがこのメルマガの目的ではない。 いまの世界経済の危機を乗り切るため、各国はあらゆる政策を講じることで合意したらしい。 しかしその具体策については一致せず、さらなる協議が必要だという。 各紙が一様に報じる評価はそういうことだ。 そのくらいの事は素人でもわかる。 私がここで言いたいことは、今度のG20が始まる前の、安倍首相の中国経済批判と、それに同調するメディアの論調だ。 中国経済の悪化と株の暴落が世界経済危機の引き金だと言わんばかりだった。 そしてご丁寧に麻生財務相は会議でも次のように迫ったという(2月28日読売)。 「人民元の安定化策を含んだ構造改革の工程表を示す必要がある」と。 あまりにも身勝手な批判だ。 中国の高度成長と株高の恩恵を一番受けていたのは日本だったのに、それが悪化すると中国を批判する。 そもそも今の世界の危機は、リーマンショックに見舞われた主要国がこぞって財政出動や金融緩和のエンジンをふかせてきたことにある。 そうした行き過ぎが新興国バブルを生み、そして必然的にはじけたのだ。 もはや世界経済は運営共同体なのである。 かくて、間違った安倍首相の中国たたきは見事に空振りに終わった。 それどころか、日本のマイナス金利政策が為替切り下げ競争につながるのではないかと懸念されたらしい(2月28日日経) それにとどまらず、日本はもっと財政出動せよと迫られたらしい。 赤字財政が膨れ上がり、国民の懐に手を突っ込んでいる安倍首相が、もっと金をばらまけと言われているのだ。 中国包囲網を狙った日本が逆に包囲された如くだ。 アベノミクス失敗へのダメ押しだ。 残ったのは習近平主席の安倍首相に対する更なる不信感だけである。 日中関係の改善は遠のくばかりである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)