□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月14日第41号 ■ ============================================================== 慰安婦問題合意の非民主性を見事に喝破したトロント大学教授 ============================================================== 慰安婦問題をめぐる今度の合意は、冷え切った安倍首相の日本と朴大統領の韓国との関係があまりにも行き詰まっていたため、関係改善の急展開ばかりに目を奪われがちだ。 しかし、合意の背景にあった米国の圧力や、合意そのものの本質が、今も昔も変わらぬ日韓の不平等性の歴史であることについて、わかりやすく説明して国民に教えてくれるものは皆無だ。 そう思っていたら、きょう1月14日の東京新聞紙上で、トロント大学の米山リサさんという教授が見事にその事を喝破していた。 この日韓合意は、当事者不在の国家間処理と言う点で、日韓政府が請求権問題は「完全かつ最終的に解決した」とする協定を結んだ50年前のつまずきの亡霊を見るかのようだと。 この合意は、米国に日本は付き従うという冷戦レジームの温存であり、沖縄の基地問題や、特定秘密保護法、安保関連法強行の延長線上にあるものだと。 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」というが、むしろ戦後の冷戦体制を完成させつつあると。 その通りだ。 そして米山教授はこう締めくくっている。 歴史認識の問題で日本は謝罪の姿勢さえ示せば和解できるとしてきた。だが、謝罪は一方的に押しつけるものではない。女性国際戦犯法廷(2000年)で元慰安婦の女性が訴えたのは、「日本に赦し(ゆるし)を請うてほしい」だったが、(当時その法廷を拒否した安倍首相は)今度の合意で「赦してくれ」と言ったのか。戦前・戦前の検閲も、「勘ぐれ、おまえ」という自己検閲だった。侵略の過去を振り返らない民主主義は、他社を抹殺する攻撃的なナショナリズムに直結する。ジャーナリズムが見定めるのはその事である、と。 これ以上ない的確な安倍首相批判であり日韓合意批判だ。 そしてその安倍首相に追随して安倍首相に不利な事を書こうとしない、今の日本の大手メディアに対する痛烈な批判だ。 その安倍首相は、国会での攻撃的発言がますますエスカレートしている。 反省のかけらもない首相が歴史的日韓合意を成し遂げたというのなら、これ以上の逆説はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)