□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年10月4日第813号 ■ ============================================================= 対米従属から自立せよと書いた朝日の衝撃 ============================================================= きょう10月4日の朝日新聞に、山中季広という名の特別編集委員の「日曜に想う」という論説がある。 その記事で私は知った。 去る8月24日に神奈川県相模原市の米軍補給廠が火事になり、相模原市の消防も駆けつけたことがあった。 それを知った時、主権の及ばない米軍基地内に市の消防が入ったことに私は驚いたものだが、この山中氏の記事を読んで合点がいった。 すべては米軍の命令だったのだ。 装備も人員も米軍の消防より市の消防がまさる。だから米軍は市の消防に協力を求めた。 ところが米軍との取り決めで市の消防は米軍の指揮下に入らざるを得ない。 米軍の指示は「保管物が判明するまで放水は待て」だった。 結果的には、午前零時45分ごろに火柱が上がったのに、放水が始まったのは午前6時56分だったという。 「せっかく臨場した市消防が朝まで放水できない。おかしいと思いませんか」 これが現実だったのだ。 このエピソードを冒頭に紹介したうえで、山中氏は要旨次のように書いている。 主権が及ばないのは沖縄だけではない。 主権が及ばないのは占領期だけの事ではない。 今でも、日本そのものが、米軍の占領状態下にあるのだと。 いまから3年前、オスプレイが配備された時、時の野田佳彦首相は「米政府の方針。日本がどうしろこうしろと言える話ではない」と国会で発言した事があった。 放水できない消防、捜査できない警察、オスプレイ配備に何も言えない首相。 属国か属領のごとく扱われる点では本土と沖縄に違いはない。 こう書いた上で山中氏は、先般翁長知事が国連人権理事会で演説をした事に言及し、次のようにこの論説を締めくくっている。 「・・・沖縄の人権がゆがめられてきたのはまぎれもない事実である。同時に日本の主権もゆがめられたまま70年が過ぎた。基地のもたらす同根の苦難を思えば、いっそ菅官房長官が(翁長)知事と肩を並べて国連に訴え出てもおかしくはなかった。 菅義偉官房長官は翁長知事の国連スピーチを批判した。『国際社会で理解されない。強い違和感を覚える』。その発言に私は強い違和感を覚える」 と。 これは、日米同盟最優先を続ける限り日本は永久に米国の属国状態から抜けだせない、と言っているに等しい。 私は朝日新聞は日米同盟最優先を唱える新聞だとさんざん批判的に書いてきた。 その朝日がついにこのような記事を書くようになったのだ。 山中季広特別編集委員が、朝日新聞の中で主流なのか傍流なのか私は知らない。 この考えが、朝日新聞の社是であるかどうか知らない。 しかし、朝日新聞が、山中特別編集委員のこのような論説を日曜日の紙面で大きく掲載したのはまぎれもない事実である。 それほど日本は世界にも稀な対米従属国であるということだ。 日米同盟最優先の政策は、いずれ見直される事になるだろう。 右も左も超えて、ひろく一般国民が国民がそれを政府に求める時がくるだろう。 それほど米国の外交・安保政策は間違っているということだ。 その米国との軍事同盟から自立できなければ、日本の将来は危ういということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)