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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

尖閣棚上げを認めた鈴木・サッチャー会談議事録公開の衝撃
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年2月19日第155号 ■   ==============================================================   尖閣棚上げを認めた鈴木・サッチャー会談議事録公開の衝撃  ==============================================================  私は昨年12月31日の最後のメルマガで書いた。  ロンドン発共同通信が物凄いスクープを報じた、と。  すなわち、英国が公開した秘密文書の中に鈴木善幸首相とサッチャー英国首相の会談録があり、その中で鈴木善幸首相がサッチャー首相に、尖閣問題については日中間で棚上げすることで合意している、と述べていた事が判明したというあのスクープのことだ。  私は書いた。  これは物凄いスクープだ。  もはや日本は棚上げはなかったとは言えなくなった。  尖閣問題は習近平の中国も引き続き棚上げでいいと言っているのだから、これで尖閣問題は終わりだ。  それにしてもこのような大スクープをなぜ大手新聞は取り上げないのか、と。  この記事を書いた後、私はすっかりこのスクープの事を忘れていた。  そして新年に入ってきょうまで、どのメディアもこのスクープの後追い記事を書くものはなかった。  ところが先日、思いがけなくこのスクープの事がある人の口から出て、私を驚かせた。  長年日中民間交流に尽力してきた名の知れたその人は、内輪の講演会でこう話したのだ。  尖閣問題はあのニュース(共同通信のスクープ)が出た時点で日本は何も言えなくなった。元外務次官経験者も言っていた、これが出たらお終いだと。こんな事は外務省はとっくに分かっていたんだから、どうしてあんた(元外務事務次官経験者)がばらさなかったんだと言ったら、守秘義務違反になるから言えないと言っていた・・・  この話を聞いて、私はいまさらながら外務省の不誠実さにあきれかえった。  何が守秘義務違反だ。  これだけ重要な事を国民の前で明らかにすることは、尖閣問題でいたずらに日中関係を悪化させている事を考えれば、むしろ国益にかなう行為だ。  安倍政権は困るだろうが、日中関係改善を願多くの国民は、その勇気に拍手喝さいを送るだろう。  日中関係の回復のために尽力を尽くして亡くなって行った日中双方の先代たちも、草葉の陰で喜ぶだろう。  私はその元外務事務次官経験者を知っているから、情けなく思うのだ。  今からでも遅くない。  このメルマガを読んだメディア関係者は、この英国が公開した秘密文書を国民に紹介し、外務省に棚上げ合意はあったではないかと迫るべきだ。  安倍首相は中国側が提案している尖閣棚上げを受け入れるべきだ。  さもなければ、いずれ中国のほうからこの鈴木・サッチャー会談の議事録の内容を明らかにし、安倍首相を追いつめるだろう。  恥をかかされる前に決断すべきだ。  ウソと不誠実は外交にとって最悪と心得るべきである(了)  参考までに昨年12月31日のメルマガを以下に添付する □■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年12月31日第1210号 ■   ==============================================================   英国が公開した尖閣棚上げ合意の存在を証明する公文書の衝撃   ==============================================================  国民がみな休暇に入った時を見計らって、年末年始の大手紙は大きな スクープを掲載することがこれまでの常であった。  今年はこのニュースがそれにあたるのだろうか。  ロンドン発共同通信がきのう12月30日に衝撃的なニュースを配信 した。  英公文書館が12月30日、1982年9月にサッチャー英国首相 (当時)が来日した際の鈴木善幸・サッチャー首脳会談の会談録を公表 したというのだ。  衝撃的なのは、その会談録の中で、鈴木首相がサッチャー首相に対 し、尖閣問題については日中間で棚上げにする(現状を維持する)合意 があることを明らかにしたことが確認されたことだ。  これは尖閣領有権をめぐる日中対立の今後に、決定的な影響を与えざ るを得ないだろう。  尖閣問題については中国側が再三にわたって、その棚上げ論を提案し て来た。  それに対し、日本政府は一貫して「尖閣問題は存在しない」という立 場を繰り返し、棚上げ論を拒否してきた。  ところが、今回公表された英国の機密公文書は、日本政府のウソを見 事に暴露したのだ。  さすがに英国が公開した公文書が虚偽だとは日本政府は言えない。  鈴木善幸首相の発言を当時の外務省が起案した事を誰も否定は出来な い。  つまり尖閣棚上げ合意は間違いなくあり、それを外務省は認めていた ということだ。  まさかこのような公文書を英国が作成し、しかもその極秘文書が公開 されるとは誰も予測しなかったに違いない。  外務官僚たちは、現職の官僚もOB官僚も、自らを偽って尖閣棚上げ の合意はないとウソをついてきたのだ。  あの時中国が尖閣棚上げを提案して来た時、それに応じていれば今頃 は日中関係は解決していただろう。  しかしもはや時遅しだ。  棚上げに応じない日本を見て、中国は確実に尖閣領有権では譲らない 覚悟を固めたようだ。  このままいけば尖閣諸島の領有権をめぐる中国の攻勢は強まり、日本 の領有権の主張はますます追いやられていく。  それでも日本が尖閣領有を主張するなら、中国は戦争を辞さない覚悟 で領有権を主張するだろう。  日本は戦争の危険性をおかしてまで尖閣領有権を本気で主張する覚悟 はないだろう。  かくして尖閣諸島の中国領有が、既成事実化されていく。  私が注目したのは、これほど重要な外交文書が英国から公表されたと いうのに、それを共同通信しか報じなかったことだ。  しかも共同通信が報じたにもかかわらず、それを掲載したのは大手新 聞では東京新聞だけだったことだ。  地方紙は大きく報じたに違いない。  きょう12月31日の栃木県の地方紙(下野新聞)は共同の配信を大 きく報じていた。  いうまでもなく尖閣問題は歴史認識問題と並んで来年の日中関係を決 定づける最大の外交課題だ。  英国が公表した鈴木・サッチャー首脳会談録は、いやでも来年になれ ば、大手新聞も報じざるを得なくなる。  その時、大手新聞がどのような解説記事を書いてこの英国公文書を評 価するだろう。  安倍首相はこの英国が公開した鈴木・サッチャー会談録をどう評価す るだろう。  安倍首相の対中外交は来年はどうなるだろう。  来年も尖閣問題から目が離せない(了)  これを以って本年の配信を終わります。  たびたびの番号付の誤りがあったので正確な数字は異なるかもしれま せんが、ともかく一日も欠かすことなく1210本の配信をすることが できました。  引き続き来年もまた誰も書かない、書けない事を書く、という決意 で、書き始め、書き続けます。  どうか読者の皆様に置かれてはよいお年をお迎えください。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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