□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月10日第304号 ■ ========================================================= 田中耕太郎最高裁長官の違憲判決に触れないメディアの大罪 ======================================================== 誰の入れ知恵か知らないが、高村自民党副総裁が突如として55年前の砂川事件に関する最高裁判決を持ち出し、集団的自衛権の行使容認は砂川判決でも認められていると言い出した。 その時から集団的自衛権の「限定容認論」なるものが一人歩きした。 そして安倍首相がついに8日のフジテレビで砂川事件の最高裁判決を引用し、こう述べたらしい。 「集団的自衛権を判決の中で否定しない、ということははっきりしている」と。 安倍首相は口の軽い、饒舌で、軽率な首相だとつくづく思う。 みずから自分の首を絞めている。 これでは有識者懇談会の報告書は必要なくなる。 わざわざ小松内閣法制局長官を任命した意味もなくなる。 解釈改憲はこれで事実上決まったようなものだ。 安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための解釈改憲と批判される。 みずから批判を招くようなことをわざわざ自分で仕掛る愚かな首相だ。 しかし、もっと愚かで軽率な事がある。 それは田中耕太郎最高裁の砂川判決を持ち出し、繰り返す事だ。 なぜならば、そうすることによって55年前の砂川事件が鮮やかによみがえるからである。 見事な論理構成によって駐留米軍が憲法9条違反であると断じた東京地裁の伊達秋雄裁判長の名判決(伊達判決)に光が当たるからである。 そして何よりもその伊達判決を差し戻した田中耕太郎最高裁長官による最高裁判決の売国奴ぶりが、国民の前に白日の下にさらされることになるからだ。 田中耕太郎最高裁長官の売国奴ぶりとは何か。 それは伊達判決に動揺した米国政権とひそかに通じ、この国の司法を対米従属に歪めたことである。 この恥ずべき事実が日本の学者や歴史研究者らの手によって明らかにされたのは数年前であった。 その後も次々と事実が明らかにされ、報道されてきた。 この最高裁の不正義について、情報公開と砂川裁判再審請求が、国と最高裁を相手取って当時の関係者たちから起こされている。 すなわち高村副総裁が持ち出し、安倍首相が集団的自衛権行使容認の解釈改憲の基礎にしようとしている砂川判決こそ、違憲、無効の判決なのである。 安倍首相は二重の意味で違憲、無効を行おうとしている。 違憲、無効の上塗りだ。 この事をメディアが知らないはずがない。 しかしそれに言及するメディアは皆無だ。 集団的自衛権論争の中で問われるもう一つの大きな問題は、この国のメディアがまったく機能していない、国民に真実を知らせようとしていないことである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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