□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月1日第201号 ■ ========================================================= 日本にとって厳しいものになる今年の北京APEC首脳会議 ========================================================= きのう2月28日の日経新聞に注目すべき記事を見つけた。 それは中国政府が2月27日に、今年のアジア太平洋協力会議(APEC)首脳会議を11月に開催することを発表した、という記事だ。 このニュースの意味をすぐに理解できる者は米中関係に通じている者である。 すなわちこのニュースは、中国がオバマ大統領の政治日程に配慮して譲歩したということを示したのである。 今年のAPEC首脳会議の開催国である中国は、国内政治日程の観点から当初10月の開催を希望していた。 ところが米国は11月4日に中間選挙を控えている。 もしAPEC首脳会議が10月中に行われるとなると、オバマ大統領は中間選挙の勝利のための選挙運動を優先せざるを得なくなりAPECを欠席せざるを得ない。 だから中国に対してはAPEC首脳会議の開催はその後にしてほしいと米国は申し入れて来た。 このAPEC首脳会議の開催日程は中国と米国の間の一大交渉事であったのだ。 そして中国は最終的にオバマ大統領に敬意を表し、APEC首脳会議を米中間選挙の後にすることに決めたのである。 当然のことながらオバマ大統領の米国は習近平の中国に感謝する。 ただでさえ来るべき11月のAPEC首脳会談は主催国中国とアジア重視のオバマの米国の二大国の独断場となると言われていた上に、主催国中国がオバマ大統領の米国に譲歩する形でオバマ大統領の出席を確保し、米国のアジア重視の政策を歓迎する格好となった。 もし11月までに安倍政権の日本と習近平主席の中国が和解していなければ、11月のAPECは安倍首相にとって厳しいものになるに違いない。 おまけに朴大統領の韓国との関係が慰安婦問題で対立したままだとなおさらだ。 そもそもAPECは日本が主導して1980年代につくられたアジア太平洋地域の経済協力機構だ。 それが今となっては孤立する日本を追いつめる事になる。 なんという外交的失敗であろうか。 安倍首相はなんとしてもその時までに中国・韓国との関係を改善しておかなくてはならない。 米国の信頼を取り戻しておかなければならない。 それが出来ないなら安倍首相は潔く退陣し、あらたな首相の下でAPEC首脳会議で存在感を示せる日本になっておかなければいけないのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)