□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月25日第189号 ■ ========================================================= スコットランド、ウクライナ、沖縄に共通する住民パワー ========================================================= 日本のメディアはほとんど報道しないがいま英国を悩ましている最も大きな問題の一つにスコットランド独立の動きがある。 すなわち今年の9月18日にスコットランド独立の是非を問う住民投票が行われる事になっており、危機感を抱いた英国首脳が相次いで反対の発言を発し、スコットランドの独立を目指す自治政府との間で対立が高まっている。 欧州連合も英国政府に同調する動きをみせている。 このことはウクライナ情勢と見事に重なる。 すなわち今後のウクライナ情勢も、ウクライナにどのような政権が出来ようとも、ロシアへの帰属を望む住民と、西側諸国との関係を深めたいと願う住民を一つにまとめるのは困難だと言う見方が強い。 いくらロシアや米国や欧州連合(EU)がそれぞれの大国の論理でウクライナを一つの国につなぎとめようとしても、住民の意思をその論理で従わせることは出来ないのだ。 沖縄と日本政府の関係もまさしく同じである。 いや名護市と日本政府の関係と言った方がより正確かもしれない。 国家の意志によって住民の意志が無視される。 おりから安倍政権は辺野古移設工事に反対する住民を、流血デモが起きないようにあらたな法律によって事前に取り締まろうとする動きを見せ始めた。 それに対する沖縄の動きは複雑だ。 より大きな沖縄県は仲井真知事という権力の前に分断されつつある。 安倍政権は仲井真知事という権力をさらなる権力で支える。 このような動きこそ住民の意思を無視する大国の論理だ。 折から沖縄に独立論が語られるようになった。 沖縄独立は政治の現実の前に押しつぶされるだろう。 名護市の声は沖縄全体を代弁せず、沖縄自身が国家権力の前に分裂させられつつある。 しかし、このまま安倍政権が辺野古移転を強行するなら、名護市は独立に言及し住民パワーの力を見せつけるべきだ。 少なくとも自治政府宣言をすべきだ。 現実的にそれが可能かどうかというよりも、住民自治の意志を世界に示すという戦略として世界に発信すべきだ。 それが、スコットランド住民を勇気づけ、ウクライナへ関与する大国の論理に衝撃を与えるだろう。 いま世界で起きている事は国際競争に立ち向かうには強く大きい国を維持しなければならないとする大国の論理とその大国の論理に賛同する者たちと、たとえ小さくても自らの手で納得した自治社会を望む者たちのせめぎ合いではないか。 どちらが正しいかは最後は住民の選択だ。 稲嶺名護市は、安倍政権の動き次第では、スコットランドのサモンド自治政府首相やウクライナのティモシェンコ元首相の動きに呼応して自治政府を目指すしかないと宣言すべきである。 世界の関心を名護市に振り向けさせる時宜を得た戦略に違いない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)