□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月24日第187号 ■ ========================================================= 安倍外交にさらなる難問を突きつけるウクライナ問題 ========================================================= ウクライナがとんでもない状況になっている。 ソチ五輪の祝賀ムードにかき消されていたウクライナ問題が、ソチ五輪の終わりとともに一気に表面化した。 メディアはこれをウクライナの内部分裂問題、すなわち歴史的経緯から来るロシア派とポーランド派の対立問題とだと盛んに書いているが、その実態は、プーチンのロシアのオレンジ革命つぶしとその復活問題である。 ソチ五輪の開会式を西側諸国首脳がこぞってボイコットしたのは同性愛者を認めないプーチンに対する反発とされているが、その本当の反対理由は、人権を認めないプーチン首相に対する米国を筆頭とした西側民主主義の反発だ。 米国は軍事力で問題を解決しようとする軍事覇権国家の代表だ。おまけにテロとの戦いを最優先して人権を侵害する国になり下がった。 そんな米国に対する反発は強い。 しかし少なくとも人権問題については西側民主主義の代表国として踏みとどまっている。 プーチンのロシアは軍事覇権国家であるとともに人権蹂躙国家として自国の国益を最優先する非民主主義国家だ。 その典型例がシリアのアサド政権を擁護して米国と対立するプーチンのロシアだ。 今度のウクライナ問題はその第二幕だ。 日本の反米左翼はすべてを米国の陰謀と批判するが、だからといってプーチンのロシアを擁護できる正当性はどこにもない。 プーチンの傀儡であるヤヌコビッチ政権をさすがにプーチンもこれ以上擁護できず、ウクライナは崩壊状態となった。 これはプーチンのロシアの敗北でもある。 ところが日本のメディアはその事を一切報じない。 なぜか。それは北方領土問題の解決に前のめりしてプーチン大統領との関係を重視してきた森元首相とそれに影響を受けた安倍首相の矛盾が浮き彫りになるからだ。 唯一その事に言及したのが米国の代弁者のような朝日新聞である。 きょう2月24日の紙面で「プーチン氏の威信に傷」とはっきり書いた。 これは正しい。 オバマの米国に不信を持たれるようになった安倍首相は、日本を裏切って対日参戦に踏み切ってちゃっかり戦勝国側に立ったソ連を忘れるかのように、プーチンのロシアとの関係を重視し、北方領土問題の解決を急ぐ。 これまでの日本外交では考えられなかった異常な外交だ。 日本の保守の考えから逸脱する外交だ。 その矛盾がさらなる米国の不信を招く。 米国の支持なくして北方領土問題を解決できないことはこれまでの歴史が示している。 ウクライナ問題は安倍外交の底の浅さを露呈し、安倍外交をさらなる窮地に追い込むことになる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)