□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月11日第140号 ■ ========================================================= 昭和史の史実をつきつけて安倍首相に迫らなければいけない =========================================================== いうまでもなく国会審議は予算委員会だけではなく多くの場で行われている。 その中でなぜ予算委員会のやり取りだけがテレビで中継されたり、メディアで取り上げられるのか。 すべての国会審議を報道するのは時間的制約がある。 一般国民もまた関心はない。 だからあらゆる政策が反映されている国の予算を審議する場で代表させるのだ。 予算委員会が国会審議の花形と称されるゆえんだ。 だからこそ、野党はそこでは専門的、技術的な質問をするのではなく、政府の政策の、矛盾を突いて国民に分かりやすくそれを知らせる場にしなくてはいけない。 代表質問に立つ野党はその質問の内容と質問の仕方に周到な準備を重ね、最大のエネルギーを持って政府に挑まなくてはいけないのだ。 たとえば靖国参拝の是非である。 まず質問者は次のような歴史的事実を安倍首相に提示してそれを認めさせる。 すなわち日本はポツダム宣言を受け入れ無条件降伏をした事。 戦争責任を問う東京裁判の判決を受け入れた事。 A級戦犯の中に祖父である岸信介氏が含まれていたこと。 これらは今では誰もが否定できない歴史的事実だ。 安倍首相も否定はできない。 もしA級戦犯は不当判決だというなら、それこそ戦後レジームへの挑戦だ。 戦後レジームをつくった主導国である米国への挑戦だ。 そんな事を日本の首相が国会で言えるはずがない。 その上で、なぜそのA級戦犯が合祀されている靖国に日本の首相が参拝する事が正しいのか、と問う。 それは、国の命令で命を落とした英霊に尊崇の念を表する、とごまかそうとすれば次のように聞けばいい。 それではA級戦犯に対してもその英霊へ尊崇の念を表するのか、と。 もしそうだと安倍首相が答えれば、祖父の岸信介氏がA級戦犯に含まれているからかと聞く。 そうだとは安倍首相は言えないはずだ。 いや違う。すべてのA級戦犯の英霊へ尊崇の念を表するのだと、言うほかはない。 そうすれば次のように質すのだ。 なぜA級戦犯であった東条以下が処刑され、同じA級戦犯であった祖父の岸首相が免責になったのかと質す。 安倍首相は知らない、米国に聞いてくれと答えるしかない。 そうすれば次のように質すのだ。 その理由については後で問題にするとして、同じA級戦犯でも、処刑されて死んでいった英霊と、免責されてその後も何の責任も取らなかった祖父の岸首相とどちらが潔いと思うか、と問うてみればいい。 安倍首相は何というだろうか。 その答えがどうであれ、すべては次の質問を行うためである。 すなわち岸信介元首相は米国から免罪され、その後自民党は米国CIAの財政支援まで受けて政権を維持し、米国の反共政策に協力した。 祖父のこの行動をどう評価するかと。 これが戦後レジームなのだ。それでも戦後レジームを否定できるのか、と。 その後も、史実に即した質問はいくらでもすることができる。 そうする事によって国民が戦後史の矛盾に気づくようになる。 そうすることによって安倍首相の矛盾を満点にさらすことができる。 国会質問がつまらないのは質問する国会議員がだらしないからである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)