□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月1日第110号 ■ ========================================================= 交渉の冒頭から負けている日露次官級協議 =========================================================== きのう1月31日に行われた日露次官級協議は北方領土問題で平行線をたどったまま終わり、2月8日にソチで予定される安倍・プーチン首脳協議で積極的な対話を続ける方針を確認したという。 これほど茶番な次官級協議はない。 安倍首相はプーチン大統領と4度も首脳会談を重ね、北方領土問題について協議を行い、そのたびに次官級協議で協議をさせて解決策を見いだそうと合意を繰り返した。 その次官級協議が何度開いても結論が出ず、首脳会談で決めてもらうしかないと首脳に政治判断を委ねる。 終わりのない堂々めぐりだ。 そもそも領土問題という主権にかかわる問題を官僚同士で話し合って決められるはずがない。 今度の次官級協議が不毛に終わる事はわかりきっていた。 それにしても、きょうの産経新聞「靖国後」が、今度の次官級協議の冒頭の模様を次のように書いていたのを読んで驚いた。 「『今年は午年。エネルギッシュで勤勉なウマのように今年のロシアと日本の関係を発展させたい』 春の到来を思わせる暖かな日差しに包まれた31日の外務省飯倉公館(東京都港区)。日露次官級協議に臨んだロシアのモルグロフ外務次官は、にこやかにそう切り出した。この日の主な議題は北方領土の帰属をめぐる日露間の歴史認識の整理だった。重い話題を取り上げても日露間の基本的な信頼関係が揺らがないことに日本側の杉山晋輔外務審議官は胸をなでおろした・・・」 なんということだ。 領土問題の本質に関わるサンフランシスコ講和条約の解釈についての応酬が「重い話」であるととらえ、ロシアの外務次官がいきなりそれに入らずににこやかに気候の話を始めたからほっとしたというのだ。 協議を行う前からすでに気遅れしている。負けている。 あたかも歴史認識でロシアを論破する自信がまるでないかのごとくだ。 これでは安倍首相がいくらプーチン大統領と北方領土問題を協議しても話が進まないはずだ。 そう思っていたらその産経新聞の記事はこう書いていた。 安倍首相が無理をしてソチ五輪に出席し、プーチン大統領と首脳会談にこだわるのは北方領土問題解決のためではない。歴史認識をめぐる中国との対立においてロシアを日本側に引き寄せ対中カードに使うためであると。 笑ってしまうのは、その産経新聞でさえも次のように書かざるを得なかったということだ。 つまり中露首脳は第二次大戦終結70周年の記念行事を共同で行う予定だ。ロシアは日中両国をてんびんにかけるが、日本もまた対中けん制上、ロシアをカードとして利用しなければならない。国益をかけた外交戦はし烈さを増している、と。 すなわちロシアの奪い合いも日本は中国に勝てる保証はまったくないということだ。 安倍・プーチン大統領の首脳会談は、北方領土問題はもとよりロシアの奪い合いにおいても中国には勝てないということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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